人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補d)ティナ・ブルックス(ts)

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

Tina Brooks(1932-1974,tenor sax)。
ブルックス編も今回が最終回。この人は、バレル「ブルー・ライツ」Vol.1,Vol.2を一枚と数えれば12枚の参加作しかない。それも58年~61年の間で、74年に肝硬変で没するまでの14年間は完全にジャズ界から姿を消していた。20代までで引退し、42歳で死去。生活の不摂生が原因らしい。

マクリーンとの「ストリート・シンガー」セッションに続いて録音された、
Back To The Tracks(画像1)60.9.1&10.20
-はジャケット、レコード番号共にブルーノート社のカタログに掲載されたが、実際は85年のボックスセットまで発表されなかった。「ストリート・シンガー」の1曲のみマクリーン参加で、残りはマクリーンを除く同メンバーによるクインテット。全5曲中3曲ブルックスのオリジナル、自身の前作「トゥルー・ブルー」続編とも「ジャッキーズ・バッグ」の姉妹作とも言えるが、やはりマクリーン参加曲が光る。年齢は一歳上なだけだが、パーカーとバドの薫陶を受け、マイルスやメッセンジャーズ、ミンガスから揉まれてきたマクリーンはやはり只者ではなかった。

次に参加した、
Freddie Redd:Redd's Blues(画像2)61.1.17
-も没アルバムとなり、88年のボックスまで発表されず単独CD化は02年になる。これも悪くないが、レッドの前2作にはあった強力なオリジナル曲に欠ける。ブルックスの「トゥルー・ブルー」と他作品にあるような楽曲の出来の差がある。「バック・トゥー~」にしろこれにしろ、単独で聴けば十分満足のいく作品なのだが。

そして最終作、
The Waiting Game(画像1)61.3.2
-がまた没アルバムになる(ボックス85年、単独CD化99年)。全6曲中5曲オリジナル。メンバーはピアノのケニー・ドリュー以外は一新して、ジョニー・コールズ(トランペット)フィリー・ジョー・ジョーンズ(ドラムス)、ウィルバー・ウェア(ベース)と謎の人選。なかなか聴き所が多く、プレスティッジやリヴァーサイドなら文句なしにリリースしただろう。ブルックスにとって、ブルーノート社専属が果して幸運だったかわからないのだ。