人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補20a)アルバート・アイラー(ts)

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Albert Ayler(1936-1970,tenor sax)。
アルバート・アイラーの音楽を一度でも耳にしたら、決して忘れられない。こんな音を出すミュージシャンはいないだろう。音色だけで他にはない音楽を作ってしまった。その意味でアイラーはフリー・ジャズのみならず、20世紀音楽でもっとも傑出した演奏家だったとすら言える。

2004年に発売されたボックスセット、
Holy Ghost-Rare & Unissued Recordings 1962-70(画像1)
-は200ページにおよぶ解説書、多数の資料の複写、ドライフラワーなどの付録を収め、発掘ライヴ7枚に2枚のインタビューCD、そして正真正銘初レコーディングになった60年9月の軍楽隊除隊記念録音が含まれている。アイラーはヨーロッパ駐留軍除隊後、各地をぶらぶらしていたらしい。
また、プロデビューは62年6月のフィンランドのラジオ番組だったのも収録音源で判明した。現地の普通のジャズ・バンドをバックにアイラーだけが、フリー・ジャズをやっている。

ストックホルムに滞在中、現地のマニアが自主制作したのが、アイラーのファースト・アルバムになった、ピアノレス・トリオの、
Something Different-First Recording Vol.1,Vol.2(画像2)62.10.25
-になる。ロリンズやコルトレーンのレパートリーのスタンダードやブルース、'Moanin''まで演っているのだが、完全にいかれたアイラーのスタイルにドラムスもベースも曲を見失っており、夢遊病者のような演奏になっている。会場(美術館)の雰囲気は最悪だったという。無理もない。

My Name Is Albert Ayler(画像3)63.1.14
-はコペンハーゲン録音でマイナーとはいえ正規のレコード会社から出た第1作になる。メンバーは普通のピアノ・トリオだが真摯な演奏をしており、特にベースのペデルセンが素晴らしい。アイラーの自己紹介からフェイド・インする'Bye Bye Blackbird'はソプラノ・サックスを吹くが、完全にピッチがずれている。セシル・テイラーに捧げた'C.T.'以外はスタンダードだが、こんなにいかがわしい'Summertime'はアート・ペッパー以外聴いたことがない。