人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟の思い出54

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・3月22日(月)晴れ
(前回から続く)
・欄外記載「統合失調症=脳の神経伝達物質のバランスが崩れて知覚や思考が歪められる。10代~30歳頃の発症が大半、100~120人に一人が発症。陽性症状―妄想(事実でない事を信じこむ)、幻覚(実際に起っていない事を体験する)、多動と多弁。陰性症状―意欲や気力の低下、無口、引きこもり、集中力や学習力の低下、無感情、思考散漫(パンフレット「統合失調症の手引き」より。もちろん日常生活に支障のない寛解状態では、統合失調症でも特に健常者と変りない)」

「これまでも佐伯さんが私に気がある、という妄想女には次々と困らされてきたが、好意に由来する妄想なのでまだしもだった。今回HAは明らかに悪意から妄想をふくらませているのが腹立たしい。お前何様だ、とまるでKくんのように感情的になってしまう。いけないいけない。親しい人なら事実無根なのは一目瞭然だし、そう親しくない人だって自分には関係ないことなら無関心なだけだ。問題ない」

「Kくんと洗面室で顔をあわせると右頬が丸々腫れている。先週から治療中の歯が一晩で腫れてしまったらしい。ちょうどSg看護婦が入ってきたのでKくんが鎮痛剤と抗生剤の処方、なるべく早く、できれば休み明けの明日の歯科受診を念押しして出ていくと、Sg看護婦が、ところで昨日言ってた相談事って何?簡単に説明するとSgさんは一笑し、大丈夫よ、看護婦だって受け流しているだけでそんな話信じてないし、患者だって佐伯さんがそんな事してる筈ないのはわかるわよ。Sgさんは厳しいしキツい面もあるがいい人だ」

「朝食は、Kくんはパン(耳は残す)以外はほとんど食べられず、佐伯くん食べてよ。帰宅組も戻りは夕食に間に合うまでなので昨日同様閑散。10時すぎにHAはYzさんと散歩に出かけたからKくんやKdさんたちとは散歩に出ても良かったのだが風が強くて冷たいのと、今日はひっそり過ごしたくて散歩は辞去。見送る時に昨夜の話題になってお照さんも呆れ、Uzさんも、そういえば昨日の散歩の時そんな事言ってた。Mさんも一笑し、病気なんだから仕方ねえって。ひとりになり日記つけ始めて、HAの場合は留学して医学部を飛び級卒業にせよ、私って美人だからさ、にせよお高い自惚れ妄想だから、今回のは被害妄想なんだろうな、と思いげんなりする」(続く)