すでに人気歌手だったビリーがインディーズのコモドア社に録音したのは、39年の第一弾セッションでは大手からはリリース不可能な新曲『奇妙な果実』のためだった。42年のコロンビアとの契約満了後に音楽家組合の待遇改善のための録音ストライキがあり、スト解除後にビリーは大手との契約前にコモドア社の録音から復帰する。インディーズの限界はあってもコモドア社はビリーを主力歌手としてプッシュし、また当時では画期的なことに黒人女性歌手にバンドの人選や選曲まで音楽的全権を与えた。ビリーのコモドア録音全16曲・45テイクの歴史的意義は大きい。
前回から一週間後の最終録音は寛いだもので、同じバンドが今回もバックを勤めた。まず28年の流行歌でコロンビア録音の再演。出来も一層素晴らしい。『私に惚れるなんて』。
[Billie Holiday-He's Funny that Way]'44.4.8
http://m.youtube.com/watch?v=f-baEjZOuXE&guid=ON&hl=ja&client=mv-google&gl=JP
次は28年のミュージカル挿入歌で大スタンダードだがビリーは今回が初録音、かつ決定的名唱になる。『恋人よ我に帰れ』。
[Lover Come Back To Me]
http://m.youtube.com/watch?v=j-ymRPuQvz8&hl=ja&guid=ON&gl=JP&client=mv-google
ブルースもあった方がよかろうと、やはりコロンビアに36年に録音したビリー自作のブルースが軽快に再演される。
[(Billie's Blues)I Love My Man]
http://m.youtube.com/watch?v=hBd4ozV3lhE&gl=JP&client=mv-google&hl=ja&guid=ON
最終曲は30年のレビュー挿入歌で明るく締めくくられた。アルバムでは、前曲とこの曲はアンコール曲のように聴こえる。
『明るい表通りで』
[On the Sunny Side of the Street]
http://m.youtube.com/watch?v=fjf20ntglMg&gl=JP&client=mv-google&guid=ON&hl=ja
(この項完)