人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記110

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・3月30日(火)曇りのち晴れ
「その立派な体育館で何をするかというと、作業療法(OT)専門の介護資格と体育教員資格を持ったスタッフ(全員女性。SD病院もそう)が三人いて、バレーボールのネットと卓球台を設置してどちらか好きな方、体調的にできない人は見学というのが今日のプログラムになる。バレーボールといってもいわゆるビーチバレーで大きなビニール製空気ボールだ。卓球の方は普通の卓球。準備体操で十分にストレッチ、これは見学者も体に無理のない程度参加。卓球は希望者が募られ、あとの参加者はビーチバレーでチーム分けされる。ビーチバレーは一戦ごとにチーム替えするので途中で休んだり卓球と替わってもいいことになっている」

「入院のしおりに持参品として運動着と運動靴というのもあり、ここの病院は入院患者へのアメニティというものがないから生保受給者には助かるが(消耗品代は生保医療の対象外で自費になり、アメニティが原則の病院ではシーツ交換までアメニティ扱いになり、入院中は生保支給額が三分の一程度になるから、家賃は全額支給されるが、公共料金の維持費と煙草代を引いてアメニティ代までかかると退院後に分割払いで自費で払うと赤字になってきびしい)その代わり生活用品一式全部持参して入院するので荷物はなるべく減らしたいし小さくしたい。洗面器まで持参しなければならないので百円ショップでいちばん小さな子供用洗面器を買ったくらいだ」

「入院日の3月2日は雨で寒かったが着替えも含めて荷物が旅行用ショルダーバッグを両肩分になったのでタートルにセーターだけで来た。退院する頃には上着はいらないからだ。だから室内用サンダルは持参したが運動着と運動靴?どうせ普段着と普段履きで済むだろう、と忘れたことにしておいた。こうして室内体育のプログラムの時のためにしおりに書いてあったわけだが、誰もが同じ考えか、それとも単なるうつけ者か、運動着と運動靴なんていう人は一人しかいない」

「Tkさんだけだ。彼女はいつも若妻然とした清楚なワンピース姿にサンダルだから、トレーナーの上下にバスケットシューズだと一人だけ目立っている。自家用車で送り迎えしてもらっているので荷物を省く必要がないわけだ。他の患者は一人で(家族がいても)入院してきた、ということでもある。ならばなぜ彼女に入院する事情があったのだろうか?」(続く)