人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記179

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(人名はすべて仮名です)
・4月12日(月)曇りのち雨
(前回より続く)
「午後のプログラムはVTR学習。テレビ東京制作の95年度(!)の番組で、内容も古くて浅い。感想が書きようがないが、仕方なく書きとめておいたテロップに沿うように見出しをつけて内容を要約し、当たり障りのない感想をつけて提出した(返される時、そのまんまじゃないの、と言われる。他にどう書きようがあるというのか、手本があるなら知りたいくらいだ)。喫煙室で中里さんも、何よあれは、古くさくて観ていられなかったわよ。ここはVTR学習というと古いのしかないみたいだ、とみんなが口々にぼやく。アルコール依存症の治療はそれほど進展がない、ってことだろう。あんなもので学習治療の成果はあるのだろうか、という疑問の声があがる」

「今週の入浴は男性三時半~七時、女性七時~八時半になる。渥美さんがまわしてくれたスポーツ新聞で、井上ひさしの訃報を見て驚く。ほとんど全面記事扱いだった。作者急病のための新作公演延期のニュースを数か月前に読んだが、もう闘病末期だったのか。朝刊休刊日でなければ朝刊に間に合ったのだろうが…。最初の緊急入院は一昨年の年の瀬だったが、やはり入院中にスポーツ新聞で飯島愛の訃報を知ったのを思い出した。出版界の人間で彼女の公称年齢を真に受ける者はいなかったのだが、亡くなって実年齢だったことを知り後ろめたかった」

「入浴を済ませ、届いていた夕刊を見るとトップではないが一面の半分、さらに三面のほぼ全面が井上ひさし逝去と追悼記事だった。夕食までは穏便に過ぎる。夕食後、最後に入浴を済ませた尾崎さんが喫煙室で坂部、冬村さんと相談している。勝浦くんと一服しに入ると、あの風呂、循環式でしょ、お湯の底でぐるぐる回ってるんですよ、おれは先に体を洗って入ろうとしたら気づいて入らなかったけど、この後女の人でしょう?ナースコールしても通じないし…。ウンコですか?そのものズバリ。尾崎さんとしては看護婦に処理してもらい何事もなく済ませたかったのだが、おれが知らせてくる、と勝浦くんが出て行き、何をどう知らせたのか、われわれが喫煙室から出るとデイルーム中の女性たちが騒然、真っ先に羽田有紗が見に行って大騒ぎ、結局看護婦が処理してお湯を抜き、女性は第三病棟の浴室を使用することになった」