人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

知らなかった男

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実はこの週末から初代の劇場版総集編『機動戦士ガンダム』三部作を観ている。自慢ではないが齢50歳の今までガンダムをまともに観たことがなかった。あの作品は中学三年生の年のアニメだったから、もうテレビにもアニメにも飽きていた頃だった。今でもテレビはほとんど映画放映しか観ない。ただ、家庭を持っていた頃に子供番組を観る習慣がついたので、子供番組なら楽しく観られる。低刺激で騒がしくないからだ。いちいち手を胸元から頭上にまで上げて拍手しながら大笑いするテレビ芸人は子供番組にはいない。

初婚の相手がいい歳をしてテレビアニメ好きだったのもある。彼女は家で観られるタイミングのアニメは見逃さなかった。うちの長女もアンパンマンの絵本とアニメで言葉を覚えたようなものだ。面白いことに、育て方は同じはずなのに長女と次女ではかなり多くの点で対照的に育った。左利きと右利きは偶然として、姉の読書は音読を好むことから始まったが、妹は音読されるのもするのも嫌う黙読派だった。しかし娘ネタは昨日も載せたので別の機会にしよう。

初代テレビシリーズの『機動戦士ガンダム』がなぜ観る気を起こさせなかったか、それがなぜか最近わかった経緯を書くと、それだけで作文一本の題目になる。なにしろ30年に及ぶロング・アンド・ワインディング・ロードなのだ。今では他に観るものがなければ「俺の妹」系萌えエロアニメでさえも黙って観賞する。50歳ともなるとアニメの中の変態などそうそう感興もなく、退屈な現実よりは面白い嘘を楽しみたい。

ガンダムの話はまた今度改めて、前妻との新婚間もない頃、休日に町に買い物に出たついでに中古レコード店キング・クリムゾンのアルバム『リザード』を買った。正確には買い直しで、前に買った時はあまり面白くなく学生時代売ってしまったが、その後数千枚のアルバムを聴いて『リザード』の真価がわかった。キング・クリムゾンが『リザード』だけ残して消滅、アルバムも廃盤だったら伝説の一枚として数十万円の希覯盤になっていただろう。帰宅してまずA面を聴き(普通そうする)それからB面に移ると妻(当時)が「あれーっ!?」と素っ頓狂な声を上げた。この曲だ。
King Crimson-"Prince Rupert Awaken"(from Album "Lizard" 1970)

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https://www.youtube.com/watch?v=3vf2lyDUMrI&feature=youtube_gdata_player

妻(当時)は押し入れからダンボールを取り出してくると、LPレコードとカセットテープ、レーザー・ディスク、ヴィデオ・テープを見つけ出した。「どれでもいいんだけど…映画のシーンで観た方がいいわ」彼女によればこれは初代ガンダム最大のクライマックス・シーンらしい。劇場版で新たに付け加えられた音楽(挿入歌)だからか、テレビシリーズの印象の方が一般的には強いのか、ガンダムほど有名で根強い人気のあるアニメ作品の、最大のクライマックスの挿入歌がキング・クリムゾンの曲の改作なのは明瞭なのに、まったく話題にされていないのは不思議な話だ。クリムゾンとブルー・コメッツの両方のファンにとっては嬉しいくらいだが、ガンダム<SF<プログレ<クリムゾンという発想で出来たんだろうな、と思うとトホホな気もする。それでも(パクりでも)これは名曲なので、サイト上にオリジナル歌唱版がないのは裏の事情があるのかもしれない(キング・クリムゾン著作権管理にうるさいバンドとしても知られる)。なんとかオリジナル版に忠実な「歌ってみた」動画からご紹介する。
機動戦士ガンダムIII.めぐりあい宇宙』挿入歌・井上大輔『ビギニング』(カヴァー)

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https://www.youtube.com/watch?v=Spk-rmsc_4I&feature=youtube_gdata_player