人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

The Diviants-"Ptoof!"U.K.1967

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The Diviants-"Ptoof!"(Full Album)U.K.1967
https://www.youtube.com/watch?v=3AkehG9Zh4c&feature=youtube_gdata_player
[Track listing]
(Side 1)
1."Opening" (Sid Bishop, Mick Farren, Russell Hunter, Cord Rees, Steve Sparks) - 0:08
2."I'm Coming Home" (Sid Bishop, Mick Farren, Russell Hunter) - 5:59
3."Child of the Sky" (Farren, Cord Rees, Hammond) - 4:32
4."Charlie" (Sid Bishop, Mick Farren) - 3:56
5."Nothing Man" (Mick Farren, Moore) - 4:21
(Side 2)
1."Garbage" (Sid Bishop, Mick Farren, Russell Hunter) - 5:36
2."Bun" (Cord Rees) - 2:42
3."Deviation Street" (Mick Farren) - 9:01
[Personnel]
Mick Farren ? Lead vocals, piano
Sid Bishop ? Guitar, sitar
Cord Rees ? Bass, Spanish guitar
Russell Hunter ? Drums, backing vocals
Duncan Sanderson, Stephen Sparks, Jennifer Ashworth - Vocals & mumbling
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 1960年代末、ミック・ファレンは、サイケデリック・パンク・グループ、デヴィアンツを結成。彼のビートニク散文詩と荒々しいロックン・ロールの融合を試みた。デヴィアンツの活動の拠点であったノッティングヒルゲイトには、シド・バレット、スティーヴ・トゥック、レミー(現モーターヘッド)、ラリー・ウォリス(ピンク・フェアリーズ/UFO)など当時のロンドンのシーンを彩る多くのミュージシャンやアーティストが集まっていた。ミック・ファレンは、デヴィアンツを足がかりにファンジンやレコードを通してロンドンのサイケデリック・シーンの活性化に一役努めた。また、ファレンは文筆家でもあり、現在までに多数の暗黒小説を執筆している。変わったところではバイカー/ロックン・ロール文化としての革ジャンの本なども出版している。デヴィアンツは、ミック・ファレンの歴史であり現在も継続中である。
(2004年・キャプテン・トリップ・レコーズによる日本盤発売時のインフォメーションより)
 ファレンは15枚のアルバムと50冊あまりの著作を残し、2013年の6月に逝去した。享年69歳。ディヴィアンツとしてロンドンのボーダーライン・クラブに出演した直後だった。
(アメリカ版ウィキペディアより)
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Mick Farren and Russell Hunter had met 21 year old millionaire Nigel Samuel who funded the £700 required for this recording. Eight thousand copies were sold on their own Impressario label via mail order through the UK Underground press, such as Oz and International Times, before being picked up and released by Decca Records.It was re-released in the mid-1980s by Psycho.
 (拙訳)ミック・ファレンとラッセル・ハンターが21歳の相続成金ナイジェル・サミュエルから700ポンドを録音費用にまきあげたことで、このアルバムは制作された。デッカ・レコーズに注目され市場に一般用プレスが出回る前に、バンド自身の自主制作レーベル“インプレッサリオ"から8000枚を『オズ』や『インターナショナル・タイムス』などのイギリスのアンダーグラウンド雑誌の広告により通信販売で売り上げている。また80年代半ばにもインディーズのサイコ・レーベルから再再発された。
The cover came in a 6-panel foldout with extensive notes, including a review by John Peel: "There is little that is not good, much that is excellent and the occasional flash of brilliance".There are two quotations in the cartoon drawing that fills three panels; one of them, "When the mode of the music changes, the walls of the city shake!!" is adapted from a quote in Plato's Republic.
 (拙訳)アルバム・ジャケットは6面開きになり、膨大な解説文が掲載され、そこにはジョン・ピールによる「欠点のほとんどない、素晴らしいひらめきに満ちたアルバム」という評も含まれている。三面分にたっぷり描かれている漫画には二つの引用文があり、そのうち「音楽の様式が変わる時、都市の壁は震撼する」はプラトンの『国家』からの引用になる。
(アメリカ版ウィキペディアより)
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 ディヴィアンツはサード・アルバムまで出して一旦解散するが、なんと当時日本盤も出ていた。「ミリオンセラー」と、とんでもない出鱈目が書いてある。イギリスの元祖アンダーグラウンド・ロッカーには違いない。音楽的にはフランク・ザッパマザーズ・オブ・インヴェンジョンの影響が強く、ガレージ・パンク的な面は後に交流を持つアメリカのMC5やストゥージスに似ているが、デビューは彼らより早い(MC5は68年、ストゥージスは69年)。
 ロック史上最悪のバンドとも言えるし、最悪=最高とすれば最高のデビュー・アルバムでもあるだろう。内容がとりとめもなく気まぐれなのはジャンキーだから仕方ないので、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドのような覚醒した攻撃性ではなく気楽なお祭り騒ぎにすぎない、とも言える。700ポンドは、当時のレートで70万円だが、現代に換算すればその10倍にはなるのではないか。
 たまたま引っ張り出して聴き返していただけなのだが、ミック・ファレンさんが昨年逝去していたとは調べるまで知らなかった。せめて今年のうちにも、この尼さん萌えのジャケットとともに、しんみり瞑目したい。

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