人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

school food punishment - Riff-rain (Fiveman Army Rocks, 2008)

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school food punishment - Riff-rain (Fiveman Army Rocks, 2008) Full Album : http://www.youtube.com/playlist?list=PLLuzqu1hPPENpC0sEsIskPaN24xT2dH6Q
Released by Fiveman Army Rocks, XQCY-1041, December 10, 2008(Ltd.), January 14, 2009
(Tracklist) total time; 23:49
1. flow - 4:54
2. feedback - 4:07
3. egoist - 5:18
4. killer - 3:33
5. 二人海の底 - 4:25
6. over - 1:38
[ school food punishment ]
西村友美 - vocal, guitar
蓮尾理之 - keyboards
山崎英明 - bass, backing vocal
比田井修 - drums
(credits)
作詞 : 内村友美
作曲 : school food punishment
編曲 : school food punishment, 江口亮
Produced by school food punishment & 江口亮

 インディーズでは3作目、July Recordsからの前2作からFiveman Army Rocksにレーベルを移してタワーレコードで2008年12月に先行発売され1週間で完売しタワーレコード国内インディーズ・チャート1位の話題を呼び、2009年1月に一般発売された。デジタルダウンロードによる配信限定シングルとして先行発表された収録曲「feedback」「二人海の底」はテレビドラマ『女子大生会計士の事件簿』の主題歌に起用される。『Riff-rain』発売直後から全国ツアーを行い、同2009年5月にはテレビアニメ『東のエデン』主題歌に起用された1stシングル「futuristic imagination」でEPIC RECORDS JAPANよりメジャーデビューを果たすから、このミニアルバムの制作・発売時にはメジャー移籍は決定していたと思われる。
 前2作『school food is good food』『air feel, cool swim』はミニアルバムとしてリリースされたが実際の収録時間は34分、39分とアナログLPなら十分にフルアルバムで通用するものだった。『Riff-rain』が24分と、正味ミニアルバム(アナログLPでもその程度のものはあったが)になったのは、半年後のメジャーデビューに楽曲を温存した面もあるのかもしれない。また、今回の作品ではこれまでより少ない曲数・収録時間ながらより丁寧な制作が行われ、全6曲で充実した作品を目指したとも見える。

 疾走感のある前半とバラードの後半でアナログLPのA面・B面に近い構成だった『air feel~』はデビュー作『school food is~』からいっそう緊密なサウンドに進展した作品だったが、この『Riff-rain』では曲数を絞っただけミニアルバムとしての密度の高さが感じられる。楽曲の良さはデビュー作から光っていたが、前2作では重複する印象の楽曲もあった。今作ではアルバム最終曲の「over」はアルバム巻頭曲「flow」の前奏曲でループする仕掛けになっているので実質的には全5曲になる。
 また「egoist」と「killer」はともに激しいフィードバック・ギター(またはフィードバック・ギターのサンプリング音)がフィーチャーされる曲だが、この2曲は曲間なしのメドレーになっており、「killer」がカットアウトして明確な曲間の静寂からバラード「二人海の底」が始まる構成は心憎い。アルバム最終曲「over」が巻頭曲「flow」(さりげなく5拍子の曲でもある)の前奏曲になっているのは前述したが、アルバム冒頭の「flow」「feedback」の勢いのある流れも良く、そこから中盤の「egoist」「killer」の盛り上がりに、と解説していくと、この『Riff-rain』は楽曲個々の出来もさることながら、構成の巧みさで短さを物足りなさと感じさせない。このミニアルバムのヒットから前2作まで遡ってこのバンドに注目するようになった、というリスナーも多かったらしい。

 メジャーからのアルバム『amp-reflection』は先行シングル5枚の発売を経て、2010年4月発売、オリコン最高位9位。さらにバンドは2011年5月に名義を大文字のSchool Food Punishmentに変えてセカンドフェイズ(第2期)を標榜し、先行シングル1枚の後メジャー第2作『Prog-Roid』を2011年7月に発売するが(オリコン14位)、同年12月に新作シングル発売後2012年2月に活動休止を発表、6月に内村友美の脱退により解散した。
 メジャーデビューから「セカンドフェイズ」まで満2年、さらに満1年で解散というのは、レコード会社との契約期間を抜きには考えられないので、まず2年契約、次に1年延長になったがそれ以上契約の延長を得られなかったと思われる。メジャーデビューが先行シングル5枚の発売後にデビュー・アルバムという流れになったことで『amp-reflection』は充実した内容の話題作になったが、シングル曲A面のほぼ全曲がアニメとのタイアップになり、いわゆるアニソンにも上手くはまりはしたものの、アニメから来たリスナーと従来のリスナーからは求められるものにギャップが大きかったのが、後期の方向性に迷いを生じさせたように感じる。『Riff-rain』はこのバンドにとって一番幸福な、上昇期の作品だったように思える。