人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

Sun Ra - Mayan Temples (Black Saint, 1992)

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Sun Ra - Mayan Temples (Black Saint, 1992) incomplete : http://www.youtube.com/playlist?list=PLN6CJ1jhXBJ_Qd9-ENo6TIYahMoIssPLt
Recorded at Mondial Sound, Milano, July 24 & 25, 1990
Released by Black Saint 120 121-2 (1992, CD)
(Tracklist)
1. Dance of the Language Barrier (Sun Ra) - 3:58
2. Bygone (Sun Ra) - 5:15
3. Discipline No. 1 (Sun Ra) - 4:57
4. Alone Together (Dietz-Schwartz) - 7:02
5. Prelude to Stargazers (Sun Ra) - 5:17
6. Mayan Temples (Sun Ra) - 7:40
7. I'll Never Be The Same (Kahn-Malneck-Signorelli) - 4:57
8. Stardust from Tomorrow (Sun Ra) - 3:38
9. El Is the Sound Of Joy (Sun Ra) - 5:26
10. Time after Time (Cahn-Styne) - 4:21
11. Opus in Springtime (Sun Ra) - 6:41
12. Theme on (of) the Stargazers (Sun Ra) - 14:09
13. Sunset on the Night on the River Nil. e (Sunset on the Nile) (Sun Ra) - 5:42
[ Sun Ra Arkestra ]
Sun Ra - piano, synthesizer
Michael Ray - trumpet, vocal
Ahmed Abdullah - trumpet, vocal
Tyrone Hill - trombone
Marshall Allen - alto saxophone, flute
Knoel Scott - alto saxophone
John Gilmore - tenor saxophone, timbales
James Jacson - basoon, Ancient Egyptian Infinity Drum
June Tyson - vocal
Jothan Callins - bass, electric bass
Clifford Barbaro - drums
Earl "Buster" Smith - drums
Ron McBee - conga, percussion
Jorge Silva - percussion
Elson Nascimento - surdo, percussion

 前回ご紹介した1989年4月29日オーストリアでのライヴ作『Second Star to the Right (Salute to Walt Disney)』 (ZUW, 1993/Leo, 1995)はサン・ラ歿後に未収録曲を増補して『Stardust from Tomorrow』 (Leo, 1996)として再発売されますが、このツアーの「ディズニー・アニメ曲集」というコンセプトは『Second Star~』に尽きていますのでアルバムとしての意義は『Second Star~』で済んでいる、と言って良いでしょう。次にスタジオ録音の『Purple Night』(A&M, 1990)があり、先にご紹介したラウンダー・レーベルの『Somewhere Else』'93と同じ1988年12月のサン・ラ・オールスターズのA&Mのための録音でラウンダー盤は『Purple Night』の残り曲集ですが、収録曲の録音日がラウンダー盤収録曲より後のものも含むためこの位置に来ます。サン・ラのスタジオ録音は1982年9月の『Nuclear War』三部作セッション以来なので拾遺曲集『Somewhere Else』だけではなく『Purple Night』もご紹介したいのですが、残念ながら音源リンクがありません。作風は『Somewhere Else』でうかがえるように、ゲスト多数のオールスターズ・セッションという性格もあってか賑やかな中にも落ち着いて手堅い印象を受けるアルバムです。
 90年代にはサン・ラはロックのインディー・レーベルに招かれライヴ作『Live in London 1990』 (Blast First, 1990)、『Beets: A Collection of Jazz Songs』 (Elemental, 1990)を発表、この1990年にはヨーロッパ・ツアー~アメリカ・ツアー~第二次ヨーロッパ・ツアーとツアーに明け暮れながらイタリアのブラック・セイント・レーベルからリリースされる本作『Mayan Temples』 を年の半ば7月のアメリカ・ツアー中にスタジオ録音します。1980年以降のサン・ラは新曲からなるアルバムでもライヴ録音中心で、前記の通り1982年9月の『Nuclear War』三部作セッション、1988年12月のA&Mセッションに次いで本作があり、遺作となった1992年9月20日~22日録音の『A tribute to Stuff Smith』(Soul Note, 1993)はジャズ・ヴァイオリン奏者のビリー・バング・カルテットの一員としての録音でした。それもゲスト参加以上の意義を持つ貴重なものですが、サン・ラ存命時のサン・ラ・アーケストラのスタジオ録音アルバムは本作が最終作になります。演奏内容は新旧取り混ぜたレパートリーですが『Purple Night』『Somewhere Else』より元気の良い好調なアーケストラで、1曲目など最良のセロニアス・モンクに匹敵します。アーケストラはマーシャル・アレンをリーダーに現在も活動中ですが、最終作=最新作という意味で、サン・ラ存命時最後のスタジオ・アルバムの本作からお聴きになるのもいいのではないでしょうか。