人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ビリー・ホリデイ Billie Holiday - テンダリー Tenderly (Verve, 1956)

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ビリー・ホリデイ Billie Holiday - テンダリー Tenderly (Walter Gross, Jack Lawrence) (Verve, 1956) : https://youtu.be/5bVFaROH1us - 3:28
Recorded at Radio Recorders, Los Angeles, California, Spring, 1952
by Mercury/Verve Records as the album "Solitude", Verve MGV-8074, 1956
[ Billie Holiday and her Orchestra ]
Billie Holiday - vocal, Charlie Shavers - trumpet, Flip Phillips - tenor saxophone, Oscar Peterson - piano, Barney Kessel - guitar, Ray Brown - bass, Alvin Stoller - drums

 新年はやはり(新年に限りませんが)ビリー・ホリデイを続けて聞きたいものです。「ソリチュード」はデューク・エリントンが自分のオーケストラ(ビッグバンド)で'34年にリリースしたのがオリジナル・ヒットでしたが、今回の「テンダリー」(「ソリチュード」ときて「テンダリー」が同じアルバムに並んでいるのも泣かせる)もビリーのアルバム『ソリチュード』のラスト曲で、ヴァーヴ盤『ソリチュード』'56はクレフ・レーベルの10インチLP『Billie Holiday Sings』'52のレーベル改名・12インチLP用増補版ですが(33rpmLPは'50年に実用化されましたが、シェラック78rpm盤に倣って'54年までは10インチが主流で、12インチLPに切り替わったのは'55年からでした)、御大エリントンに較べて「テンダリー」の作者は中堅白人ビッグバンドで地味に活動していた人で、本来この曲は3/4のワルツ・テンポの曲でした。白人男性シンガーの'45年のオリジナル盤は不発に終わり、サラ・ヴォーンが'47年に小ヒットさせてヴォーンの初ヒット曲になった曲です。サラ・ヴォーンビリー・ホリデイの愛弟子なので、この曲に関しては弟子のヒット曲のカヴァーなのでビリーもライヴ・レパートリーにはせず、録音も1回限りとなっています。『Billie Holiday Sings』のセッションで録音されていましたが同アルバムには収録洩れになり、『ソリチュード』の増補曲で初レコード化されました。素晴らしいヴァージョンです。
 この曲は名唱名演も多く、ローズマリー・クルーニーやビリー・エクスタインのヴォーカル盤、バーニー・ケッセルクリフォード・ブラウンビル・エヴァンスの名演盤もありますが、ビリーのヴォーカル盤より先に筆者が知ったのがエリック・ドルフィーの強烈な無伴奏アルトサックス盤です。ドルフィーはビリーの逝去と入れ替わりに遅くデビューし、ビリーとチャーリー・パーカーバド・パウエルの熱烈な崇拝者でした(クリフォード・ブラウンとの親交も厚い人でしたが)。パウエルのピアノ・トリオ盤も併せてお聴きください。この曲が一聴して平易なバラードながら、解釈の自由度に富む美しく面白い曲なのが、まるで違う曲に聞こえるビリー盤、パウエル盤、ドルフィー盤を並べて聴くと伝わってきます。

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Bud Powell - Tenderly (Verve, 1957) : https://youtu.be/ByfyewVJF1Q - 3:20
Recorded at Fine Sound Studios, New York, January 11, 1955
Released by Mercury/Verve Records as the album "Bud Powell '57", Verve MGV-8185, 1957
[ Personnel ]
Bud Powell - piano, Lloyd Trotman - bass, Art Blakey - drums

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Eric Dolphy - Tenderly (New Jazz, 1960) : https://youtu.be/PTCLwZv1W44 - 4:20
Recorded at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, New Jersey, December 21, 1960
Released by Prestige Records New Jazz as the album "Far Cry", New Jazz NJ8270, 1962
[ Personnel ]
Eric Dolphy - unaccompanied alto saxophone