今回は女性ヴォーカルをフィーチャーしたオルガン・ロック。まずタイトルから列挙してしまおう。
●アフィニティAffinity/'Affinity'英1970
●フランピーFrumpy/'Frumpy2'西独1971
●サンドローズSandrose/'Sandrose'仏1972
●ジュリー・ドリスコール,ブライアン・オーガー&ザ・トリニティJulie Driscoll,Brian Auger&The Trinity/「ストリートノイズ」'Streetnoise'英1968
●ジュリアンズ・トリートメントJulian's Treatment/「ア・タイム・ビフォー・ジス」'A Time Before This'英1970
……という具合で、一応上から三枚が「女性ヴォーカル+ハモンド・オルガン」の通好み決定盤ということになっている。その割にはどのバンドも不遇な運命をたどった。
アフィニティなど鳴り物入りでデビューしたのがブックレットの資料集でわかるが、この一枚で解散してヴォーカルのリンダ・ホイルのソロが一枚、それきりだった。音楽的には「ストリートノイズ」(後出)のもろ二番煎じ。
フランピーは実力派で知られたヴォーカルのインガ・ルンプ率いるハード・プログレだが、ディープ・パープルやユーライア・ヒープすら軽く聴こえるくらい重い。復刻CDの解説を読んでいたらスプーキー・トゥースとUSツアーを共にしたとあり、思わず納得。フランピーは四枚で解散、インガさんは新バンド・アトランティスを立ち上げる。
サンドローズもこれ一枚だけのバンドだが、当時の日本の歌謡曲にも通じる歌メロでミーハー的人気盤。
さて順序が前後してしまったが、この「女性ヴォーカル+ハモンド・オルガン」の嚆矢となったのが大名盤「ストリートノイズ」。基本はジャズ、ブルース、フォークだが、LP2枚組の中にドアーズ、マイルス・デイビス、リッチー・ヘヴンス、ローラ・ニーロ、ミュージカル「ヘア」まで選曲、アイディアと実験の一大絵巻。
影響は各国に飛び火し、ジョイ・アンリミテッド「飛翔」(西独1971)、アース&ファイア「アムステルダムの少年兵」(オランダ1972)、サヴェージ・ローズ「ワイルド・チャイルド」(デンマーク1973)などを生んだ。筆者のお気に入りは最後に挙げたジュリアンズ・トリートメントです。