人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

産業廃棄物ロック

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ユーロ・ロック・イタリア編は24回でめでたく?一応完了したが、ドイツ編の時にやるべきだった補足がある。ドイツ70年代ロックの成果は英米ロックの解体と再構成というべき異様なものだった。
これは他国のユーロ・ロックには見られない特徴でエイト・ビート、リード&リズム・ギター、ベースとドラムスの関係性、ヴォーカルの器楽性など一旦パーツを全部バラバラにして組み立てたような実験性がスコーピオンズのようなハード・ロックにもクラフトワークのようなテクノ・ポップにもある。
フランスのエルドンはドイツのタンジェリン・ドリームとイギリスのキング・クリムゾン影響下のバンドだが、解体・再構成といった発想は感じられない。イタリアのバンドでは皆無といってよさそうで、具体的にヴォーカル入りであろうとなかろうと伊仏は歌の国、クラシック音楽の生きている国だと感じさせる。

クラシック音楽の伝統ならドイツは本来頂点に立つべきだが、逆にそれがドイツのロックを反クラシックに向かわせた。クラシックそのものがシュトックハウゼンに代表される反伝統的な実験に向かっていた。ドイツ70年代ロックについては以上で補足を終る。

だが英米ロックにもロックの解体・再構成という流れがあった。泥沼のような奇形的アルバムが点在した。フランク・ザッパマザーズ・オブ・インヴェンション「ウィア・オンリー・イン・イット・フォー・マネー」1967(画像4)、ザ・ヴェルヴェット・アンダーグラウンド「ホワイト・ライト/ホワイト・ヒート」1967(画像5)、キング・クリムゾン「アースバウンド」1972(画像6)で、これらは直接独実験派ロックの指針となった作品群だろう。ヴェルヴェットとクリムゾンなどは故意に歪めた劣悪な音質とあまりに攻撃的な音楽性で日本発売は80年代になってからだった。ザッパは廃盤。そういうものだ。

70年代後半、パンク・ロックの勃興に混じり、どさくさ紛れに異形のバンドのデビューがあった。スーサイド「スーサイド」1977(画像1)、ペル・ユビュ「モダン・ダンス」1978(画像2)、キャバレ・ヴォルテール「ライヴYMCA27-10-79」1979(画像3)。いずれも日本発売なし。呻き声とノイズと反復リズムからはもはや曲の区別すらない。ついに産業廃棄物まで行き着いた音楽がここにある。