○コメントと断片より
(1)昔の映画のエンディングはあのくらいあっけないのが多いですよ。ラストシーンたった1分とか。ディズニーの「白雪姫」やヒッチコックの諸作を思い出してください。町が大洪水になってからの描写や展開はもう何でもありで、散漫さを感じました。トトロの姉妹死亡説は有名だそうですが(これは制作スケジュール上、映画の後半で姉妹の影を省略したのも一因だそうです)、ポニョの全員溺死説は初耳です。ぼく自身はその手の「都市伝説」系の話はあまりに貧困で幼稚な空想として興味が持てませんが(登場人物が実は死んでいる、という…「火垂るの墓」か-笑)、解釈のこじつけを招くような曖昧さが後半になるにつれ目立つことも確かです。動画を見せる以外何も言いたいことはなかったのかもしれません。
(2)夏休みの子ども向け放映ならば特定の作品の頻度が高くなるのは仕方がないと思います。特に80年代以降の日本映画は制作にテレビ局が出資していて再放映頻度が高く、2010年代からはレンタルDVDやCSの普及もあって地上波から外国映画が追いやられています。映画に出資などできないテレビ東京や地方局は映画コンテンツに苦労しながらよく奮闘しています。子どもにとってはテレビ放映映画は貴重な映画への入口、老齢のかたやぼくのような療養者にも大事な慰安です。おそらく昨日の放映も喜んで迎えられたと思います。少なくともぼくは楽しみでした。「千と千尋」「トトロ」「ラピュタ」なら何度見ても飽きません(次点「ルパン」「宅急便」)。
(3)おひさしぶりです。後で全文を読ませていただこうと思っています。レヴューの締めの言葉には同感します。前半はまだ見ていられましたが、意図的とはいえ後半の大洪水からの展開は粗雑なほど恣意的に見え、作画やアクションの魅力=アニメーションとしての技術力だけでどうにか保っているという印象でした。宮崎作品ではありませんが「アリエッティ」、退屈だなと思っていたけど「ポニョ」よりはいいな、と考えを改めたほどです。子どもに面白ければ十分ですが「ポニョ」は大人にはきつい。ぼくの娘たちは「トトロ」を200回は見たけど「ポニョ」はどうか。宮崎作品中では下位を争う、文字通り残念な失敗作という感想です(宮崎作品通例のフェミニズム性も今回の描かれ方は疑問です)。