2011-06-05から1日間の記事一覧
今回も石原吉郎を。この人は24歳で応召され、敗戦をソヴィエトで迎えてシベリアで8年間の強制労働を送った、いわゆる抑留兵。初期作品はその経歴を知らないとやや難解だが、中期以降は題材も広がってくる。「相対」を引く。 おのおのうなずきあった それぞれ…
まず大好きな室生犀星の晩年の佳作を紹介する。西脇順三郎が「マラルメ以上にマラルメ的」と絶賛した一篇だ。題して「舌」。 みづうみなぞ眼にはいらない、 景色は耳の上に つぶれゆがんでいる、 舌といふものは おさかなみたいね、 好きなやうに泳ぐわね。 …