人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ベルギーの70 年代ロック

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

イメージ 4

 マキャヴェル、ユニヴェル・ゼロ、アクサク・マブール、ジュルヴェルヌ。国際的に成功したベルギーのバンドは70年代より80年代に入ってからの活動で知られるが、この4組になる。ベルギーはオランダ領の時代が長く、19世紀初頭(1830年)に独立後カトリック教徒の占める割合でフランス文化圏に移行した(オランダはプロテスタント国)。詩人のシャルル・ボードレール(1867年没)が生前未発表に終った長篇エッセイ「哀れなベルギー」でベルギーを糞味噌に罵倒したのはベルギーにフランス文化の醜悪なパロディを見たからだと思われる。言語の面でもベルギーはフランス方言、オランダ方言の問題が20世紀中葉まで続いた。スイスのようにドイツ語とフランス語、またカナダのようにケベック州公用語はフランス語、というようにすんなりとはいかなかったのだ。

 歴史はおしまい、音楽に戻ろう。LP時代の話。ユニヴェル・ゼロは現役バリバリだったが降参する人も多いようで中古盤が安く出ていた。マキャヴェルは貫禄勝ちで新作並みの値段だった。謎なのはマブールとジュルヴェルヌで、輸入枚数が極端に少ないのか、買った人が手放さないのかほとんど見かけない。中古価格も新品2枚分くらいと思えば妙に安かったりして相場がつかめない。
 ゼロの第一作(77年)は自主制作500枚だったそうだがインディーズ・レーベルから再プレスされて今でも新品CDが手に入る。希少盤でも中身が…では中古盤も投げ売りだし再プレスされることもない。当たり前。

 そう、この「世界の70年代ロック」(仮)シリーズで紹介してきた作品群はどれも30年~40年あまりの歳月を生き抜いてきたものばかりになる。最近の新作が2050年になっても聴かれているかを思えば、その重みが判る。
 掲載アルバムは、
○マキャヴェル「ジェスター」1977(画像1)
○アクサク・マブール「偏頭痛のための11のダンス療法」1977(画像2)
○ユニヴェル・ゼロ「ユーゼッド」1984(画像3)
○ジュルヴェルヌ「エムバラッド」1983(画像4)

 簡単に言えば1はプログレ、2は前衛ロック、3は暗黒クラシカル・ロック、4は実験的ポップ。3、4も70年代デヴューだが円熟期の作品を載せた。活動ペースから見ても作風的にもマキャヴェル以外は非職業(反商業)バンドだったと思われる。この根性の入りかたは凄い。