昨年もやはり同じような記事を書いたのだった。内容は紅白歌合戦にかこつけてロック・フェスの古典「ウッドストック」と「バングラデシュ」、ロック・レヴューの古典「マッド・ドッグス&イングリッシュ・マン」の紹介で、今気づいたが三作ともレオン・ラッセルがキー・マンになっている。思わぬ盲点だった。こういうことはよくある。
ロックの年越しコンサートで双璧をなす古典アルバムがあったのを去年はすっかり忘れていた。今年はそれについて書こう。
まず1969年~1970年の年越しコンサートを収録した「バンド・オブ・ジプシーズ」1970(画像1)と、LP時代に収録洩れの15曲を収めた(1曲重複)「ライヴ・アット・ザ・フィルモア・イースト」1999(画像2)。ジャケットでお分かりのようにジプシーズとはジミ・ヘンドリックスのバンドで、エクスペリエンスは白人ふたり+ジミだったが念願かなって黒人トリオで発足したのがこのバンド。だがドラムス兼ヴォーカルのバディ・マイルスとの双頭リーダーに無理があり、このライヴ盤一作で解散する。
拾遺集「~フィルモア」もいいが、ベスト・テイクはやはり「~ジプシーズ」に集まっている。ジミ自らライナー・ノーツを書いている自信作でセールスも成功したが、評価は当時も今も賛否両論。
一曲目『フー・ノウズ』からギターのチューニングが悪い(笑)。ところがギター・ソロの間に直してしまう名人芸がたまらない。このアルバムはライヴのジミの名人芸満載で、没後は百枚近い発掘盤が出ているが生前のジミ自身が発表したライヴはこれだけなのだ。しかもテンションと余裕の両方がある。ちなみにカウントダウンが聴けるのは「~フィルモア」の方。
ザ・バンドの「ロック・オブ・エイジズ」1972(画像3)は71年~72年の年越しコンサート(ニューヨーク音楽院)の記録で、LP二枚組18曲だったが2001年のリマスターCDでボブ・ディランの参加四曲を含む10曲追加の二枚組CDとなり、ザ・バンドの前期アルバム四作の大半が聴ける豪華版になった。元々このライヴ盤は名作の定評があったから、増補されてなおさら値打ちが上がった(しかもLP時代の半額以下!)。スタジオ盤よりさらにしっとりとした演奏には溜息が出る。
こちらはLP時代からカウントダウン入り。けたたましいオルガン・ソロのファンファーレが笑える。