マーク・ボランから三枚
ボラン自身はパンク・ブームに鼓舞され、晩年は創作力も復調していたのが遺作「地下世界のダンディ」1977.3からも伺える。独自のファンク・ロックへの転換に成功している。だが「30歳までは生きないよ」という口癖が的中、同年九月30歳の誕生日の二週間前に夫人の運転する車の事故で死亡。生前のアルバムはティラノザウルス・レックスで5枚、T.レックスで10枚。没後発掘録音は50枚以上におよぶ。
そこでお薦めのアルバムは、ティラノでは最終作「ベアード・オブ・スターズ」1970(画像1)がいい。エレキ・ギターの弾き語りにパーカッションだけ、というシンプルな作りだが、それまでのティラノはアコースティック・ギターで音楽性も疑似エスニックのサイケデリック・フォークだった。このアルバムは以後にも以前にもない孤立した輝きがある。
T.レックスは「電気の武者」1971(画像2)と「グレイト・ヒッツ」1972(画像3)の2枚。全盛期のアルバムは「ザ・スライダー」1972、「タンクス」1973があるが、「グレイト・ヒッツ」は両作からの『メタル・グルー』『テレグラム・サム』『ボーン・トゥ・ブギ』をはじめアルバム未収録シングル『チルドレン・オブ・ザ・レヴォリューション』『20ス・センチュリー・ボーイ』など満載。
だが権利関係からT.レックスがブレイクしたアルバム「電気の武者」と収録ヒット曲『ゲット・イット・オン』は「グレイト・ヒッツ」未収録なので、この2枚は外せない。後追いだからか、30年聴いていて飽きません。