人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

「病気」を治す「努力」

生活扶助受給者の再就職問題は深刻な困難があるが、その上に賃金引き上げや雇用促進を棚上げしたまま生活扶助を引き下げようという動きがある。要するに雇用者側には都合がよく、被雇用者には生活保護よりはまし、という構造を推進しているのだ。
不正受給者問題など口実にすぎないだろう。マスコミ報道は本当に稀な事件だからにすぎない。それを大事件のように報道するのは、一般市民の生活保護制度への反感の反映に他ならないだろう。
たぶんこのブログを読んでくださるかたのご感想は、理解ある適切なご意見だと思う。しかし現実はもっと悪い方向に向っているだろう。これは単に生活保護世帯に限ったことではないのだ。

今日(金曜)訪問看護に訪ねてきた精神保健福祉士のアベさんに、月曜に視察訪問があった市の福祉課担当者Mさんとの面談を報告すると、アベさんは本気で憤慨していた。
「あんまりですねそれは。せめて物の言い方もあるでしょうに」
「病気のことを理解してもらうのはなかなか難しいです。一昨年まで担当だったHさんはぼくが2年間で4回入院した時期と重なったからとても親身になって理解してくれました。一昨年に最後の退院してからは前任の担当者に代り、この二年間は盲腸炎以外の入院はなかったからぼくの病状はたいして申し送りされていなかったんです。毎週ではなく隔週や月一回の通院にするよう努力してください、と言われました」
アベさんは絶句して、
「確かに毎週通院している人は少ないけれど、それは主治医の先生の治療方針だし、病状の予防だけでなく問診による安定という目的もあるでしょう?」
「アベさんの訪問看護もそうです。先生からもリハビリの一環だと言われています」

「この二年間は友人とも会わない、市の患者会にも出ない、教会の礼拝にも出ない-それでようやく安静を保っている、とは話しました」
「どうでしたか?」
患者会はともかく、礼拝は讃美歌歌って宣教を聞くだけでしょう、と言われました」
「そんな!」
「人の集まりに入って挨拶して一、二時間。それだけのことすら苦痛で耐えられない、と説明しました。一応そうですか、と言われましたけど」
「佐伯さんは生活も病気も頑張っているのに!」
アベさんは本当に怒ってくれていた。本気でぼくのために怒っているのだと思うと、泣いてしまいそうな気持になった。