人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補16c)オーネット・コールマン

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Ornette Coleman(1930-,alto sax,trumpet,violin)。
モンクやミンガスが感性で(勘で)、トリスターノやセシル・テイラーが理詰めの方法論で試行していたビ・バップ以降のジャズの刷新を、オーネットはあっけらかんとやり遂げてしまった-ただし、デビュー作はレコード会社の要望からピアノが入り、ベースも通常のビートでコード進行を追っていた。次作でようやくピアノレス・カルテットになるがやはりベースとドラムスが従来のジャズの語法から抜け切れない。ライヴ盤はピアニストとの共演だったがピアノ以外はオーネットのカルテットだったから自由奔放な演奏ができた。

「ジャズ来るべきもの」は初の決定的なスタジオ録音だった。発売に併せてカルテットはニューヨーク進出を果たし、ジョン・ルイス(MJQ)はオーネットのために「レノックス・ジャズ・スクール・コンサート」を開催。競演したニューヨークの第一線のジャズマンたちの度胆を抜く。クラブ出演は半年のロング・ランとなり同業者、特にサックス奏者が日参する。ロサンゼルス時代の友人エリック・ドルフィーのニューヨーク進出も、オーネットの成功があったからだった。

「世紀の転換」は名曲'Ramblin','Una Muy Bonita'を含む、前作に劣らない傑作だった。ルー・リードが永年の愛聴盤ベスト1に挙げている。次の、
This Is Our Music(画像1)60.7.9,26&8.2
-は代表曲'Blues Connotation'を含むが、ライヴ盤以外全曲オリジナルだったのが今回はガーシュウィンの'Embraceable You'をストレート・カヴァー、完全に原曲を解体したパーカーの古典的名演に匹敵する。ドラムスはエド・ブラックウェルに交代する。

John Lewis:Jazz Abstractions(画像2)60.12.20
-はルイスが先進的新人を集めて制作したオムニバスで、オーネットはタイトル曲とモンクの'Criss-Cross'に参加。後者はビル・エヴァンスジム・ホールなど凄いメンバーの15分半だが、ドルフィー(今回はバス・クラリネット)とオーネットが完全に乗っ取っている。

翌日録音の37分全1曲、
Free Jazz(画像3)60.12.21
-は次回で解説する。