前説が長くなったので、筆者が「隠れた傑作」ベスト3に推す三作の紹介は早川書房の「ハヤカワ文庫解説目録」から引用する。「クリスティー文庫」としてアガサ・クリスティーの全著作100冊+ガイドブック2冊が刊行されている。では、年代順に。
「ひらいたトランプ」1936
・名探偵ポアロは、夜ごとゲームに興じ悪い噂の絶えないシャイタナー氏のパーティに呼ばれた。が、ポアロを含め八人の客が二部屋に分れてブリッジに熱中している間に、客間でシャイタナー氏が刺殺された。しかも、客たちは殺人の前科をもつ者ばかり…ブリッジの点数表を通してポアロが真相を読む。
「愛国殺人」1940
・歯医者での治療を終えてひと息ついたポアロの許に当の歯医者が自殺したとの電話が入った。なんの悩みもなさそうな彼に、自殺の兆候などなかった。これは巧妙に仕掛けられた殺人なのか?マザー・グースの調べに乗って起る連続殺人の果てに、灰色の脳細胞ポアロが追い詰めたものとは?
「五匹の子豚」1943
・十六年前に、高名な画家だった父を毒殺した容疑で裁かれ、獄中で亡くなった母。でも母は無実だったのです-娘の依頼に心を動かされたポアロは再調査に着手する。当時の関係者の証言を丹念に集める調査の末に明らかになる驚くべき真相とは?過去の殺人をテーマにした代表作!
(次回へ)