人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記141

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・4月3日(土)晴れ
(前回から続く)
「なぜ離れの建物にある第一病棟に移ったはずのSaさんが外来・第二・第三病棟の建物であるこのロビーを通りかかったか一瞬戸惑ったが、ひさしぶりですね、元気にやってます?とあいさつを返しながら、案外土曜日に外来診察室で診察があったのかもしれないし、第三病棟に戻ってきたなら気づかないはずはないから診察ではないとしたらコンビニに行くのは面倒だからロビーの自動販売機に飲み物を買いに来たのかもしれない。そう思う間もなく、この通りよ、とSaさんは玄関からさっさと出て行き、思い当たると言っては失礼だが、彼女から声をかけてきてすぐさま関心が別の方向に移った様子は、Saさんの病状の進展を示しているように感じた」

「すると一列前のソファーに座っていた若い女性が振り向いて、あの、失礼ですがここの病棟のかたですか?そうですよ。私さっきの人と同じ病棟なんです。ここの病棟ってどんなところなんですか?一階はこの通り外来患者さんの診察や検査室があります。はい。入院病棟は三階と二階ですがあなたは最初から第一病棟に入院された?そうです。容態が落ち着いていらしたんですね。大概の患者さんはまず三階の第三病棟で容態が安定するまで最低一週間は様子を診ます。そのために24時間看護になっていて、容態が悪いままずっと三階にいる人もいます」

「容態が安定すると一般精神科の人は第一病棟、さっきの人がそうですね、それからアルコール科の人は二階の第二病棟に移ります。第二病棟は基本的にはアルコール科病棟なんですが、退院予定がこの段階で一か月~三か月先に立っているような人は一般精神科でも第二病棟の空き部屋に移されることもあります。三階はいつも新しい患者さんが入ってくるからです」

「そうなんですか。そのようです。ちなみにぼくは精神障害者ですが、今回はアルコール科での入院です。…Ntさんていう人知ってますか、ここから第一に移ってきた人。すぐに思い出せなかったが、椅子を投げて暴れた人、一人暮しの自信がないからグループホームに入りたい…(だがSiくんによると椅子投げ事件でグループホームの入居申請取消しになったらしい)思い出しました、俳優みたいな二枚目で、物静かで優しそうなのに…。声が聞こえるらしいんです、それで椅子を投げちゃうんですって」(続く)