人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記241

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(人物名はすべて仮名です)
・5月17日(月)晴れ
(前回より続く)
「午後のプログラムはビデオ観賞学習。確かこれは前に観たことがある。もう入院してから学習プログラムは二周目に入っているということだ。ノートをめくってみるとやっぱりもう済ませている。そうとわかれば主治医に許可された通り、すいません、もう習いましたと席を立ってもよかったのだが、ビデオのリモコン操作が不馴れな看護婦が佐伯さんこれわかる?と操作を尋ねてきて、結局最後までリモコン係をやるはめになる。名指しで後継者は作れないが、こういう場合の見本にはなっただろうか」

「プログラムは、ノートの提出は以前の回を見せて免除。リモコン係やりながらノートも糞もないのだし。空き時間にメールチェックすると滝口さんからのメールが入っている。勝浦くんを病院前のコンビニ待ち合わせで迎えに行ったらなぜか冬村さんと松本さんもいた、ということは滝口さんに知らせず冬村さんたちも誘っていたようで、清水くん夫婦と町田で合流するとは言っていたがそれも滝口さんは聞いていなかったらしい。ともあれ六人でカレー食べておいしかった、と書いてあった」

「返信を書いて四時ぎりぎりに送信、デイルームで新聞を読みテレビ台の下に返すと、ちょうど目の前の喫煙室から尾崎さんに呼ばれる。大芝くんと三田さんがあさって晩のAA外出に行くが、男女一名ずつだけでは『男女関係に発展する可能性があるため』駄目という病院の規則があるので引率役になってもらえないか、と頼まれる。退院の前日晩に自助会外出なんかしたくない、考えさせてくれ、と辞去するがほぼ決定事項にされてしまう。どうにか断りたいが他に適任者もいないとなると責任を感じ、夕食中も悩む」

「今日は洗濯もし、第三病棟から移室してきた田所さんの入院歴に驚いたり―35歳、入院は三年ぶりで今回が六回目―朝の会では金子のおやじの反省文読み上げがあった。二泊三日の外出が三泊四日になったのは飲んで帰ってきて第三病棟のガッチャン部屋(隔離室)に入れられていたのだ。あまりに目まぐるしく、勝浦くんの朝の退院はもう数日前の出来事のように感じるくらいに過ぎ去る。今日の日記は長くなるな、と思って書き始める。勝浦くんが退院したので、この四床部屋には吉村くんと柴田くんが移室してきた」
(続く)