人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(59)

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ええと続きか、どこまで話は進んだっけ?
ヘムル署長たちがのテーブルを直したところだよ、と偽ムーミン
私が怪訝に思うには、とヘムレンさんが顎に手をやりながら言いました、ちょっと出番が多すぎはしないかね?われわれ本来の立ち位置なら、こんなに呼ばれはしないはずだが。
それは私も感じていたが、とジャコウネズミ博士。ないといえばきみ、あごひげはどうした?
おや?きみだなスティンキーくん!いつ私から盗ったのだ?しかも剃り跡まできれいだぞ!
スティンキーはニヤニヤしながら顔らしき部分からヘムレンさんのあごひげを垂らしていました。顔らしきというのは、スティンキーの全身はトゲの生えた楕円状の球体で頭部も腰部もなく、そんな体の両脇から生えた細い触手が両腕で、臀部に相当する位置から生えたトゲが両脚になっているからです。常識的にも動物学的にも普通このような形態に思考能力が宿るとは考えられませんが、ムーミン谷の人びとは現実主義者なのでスティンキーには常識も普通も適用しませんでした。
おい返すんだ、とヘムル署長はふと警官の職務に目覚めてスティンキーの背中をどつきました。いててててて。大丈夫か署長、手の甲をトゲが何本も貫通しているぞ。なに慣れてますよ、と署長は一気に手を引き抜きました。素早くやれば血も出ません、多少のしびれはありますが。ほお大したものだ、とジャコウネズミ博士。きみならこの谷の軍事最高任務が勤まるな。はあ?
というのは昨夜もヘムレンさんと短波ラジオをいじって外宇宙文化を研究したのだが、これまで不明だった戦争とは交易の究極手段だと見当がついてきたのだ。たとえばムーミン谷がマイメロ村と戦争になったとする。
マイメロ村?
短波テレビで観た外宇宙放送で知ったのだ。ところでムーミン谷軍はマイメロ村軍を叩きのめした。次にすることはなんだろう?
友好的でこちらに有利な条項を結ぶことですか?
うむ、だが現実は違うようだ。戦勝国は敗戦国の軍事・政治指導者を無条件で処刑できる。三段論法だな。ウサミミ仮面は銃殺刑だ。そこで署長には軍事最高権限とともに超時間兵器の使用許可を与える。これでわれわれは全次元過去現在未来すべてを制圧できる。
無敵ですな。
その代わり最高権限者には超時間的責任を負ってもらう。過去現在未来全次元、永遠に勝ち続けねばならない使命がそのリスクだ。