人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

Krzysztof Komeda Quintet-Astigmatic(1965)

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ポーランドのジャズを代表する一枚と言えばクシシュトフ・コメダ(1931~1969)の傑作『アスティグマティク』1965になるだろう。同時期にコメダに強い影響を与えた先輩ピアニストのアンジェイ・トザスコウスキ(Andrzej Trzaskowski)も音楽性が酷似した二枚のアルバムを発表しており、一部メンバーも重複していて作曲センスもコメダにひけをとらない。この二人のピアニストはアルバム全曲自作で固めている。だが『アスティグマティク』が一歩抜きん出るのはトザスコウスキ作品よりもグループ表現に意外性があり、アメリカで類似した傾向のジャズはアンドリュー・ヒルやマイルス67年の二枚『ネフェルティティ』と『ソーサラー』くらいだがコメダ作品はそれより早く、より大胆な音楽性と完成度を誇る。では実物をどうぞ。

[Astigmatic]22'50
http://m.youtube.com/watch?v=0Hom0UZ-hKk

Astigmatic:Krzysztof Komeda Quintet,rec.December 1965,Warsaw
Krzysztof Komeda-piano
Thomas Stanko-trumpet
Zbigniew Namyslowski-alto saxophone
Gunter Lentz-bass
Rune Carlson-drums

アルバムはA面一曲B面二曲で、曲想はほぼ同じ。トランペットのスタンコとアルトのナミスロウスキはコメダ急逝(事故死、37歳)以降ポーランド・ジャズ界の重鎮になる。だからこれはポーランドの『カインド・オブ・ブルー』でもある。コメダの影響源は明かにマイルス、ミンガス、コルトレーンドルフィーエヴァンス、オーネットだがアンサンブルから切り離せばほとんどソロらしいソロがない、抽象表現主義とも呼べる作風は唯一無二だろう。ポーランドは音楽、演劇、文学、映画の豊かな土壌があり、コメダは60年代ポーランド音楽の巨匠だった。B面二曲もかっこいい。

[Kattorna]07'20
http://m.youtube.com/watch?v=N_vUZCaWjYY

[Svantetic]15'50
http://m.youtube.com/watch?v=5IHzhNFkfyQ