人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アニメ『花物語』一挙放映ネタバレ編2

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西尾維新の原作はいわゆるライト・ノベルで、『花物語』は2011年の刊行当時ベストセラー一位になったそうです。視聴者の大半が原作を読んでいるなら一層アニメに求められるハードルは高いでしょう。
ヒロイン神原駿河の左腕の呪いとは無意識に暴走する大猿の腕への変化で、彼女は常に包帯を巻いて左腕を隠し、就寝時には柱に固定しています。彼女に願い事が叶う代償に呪いを背負う猿の左腕のミイラを残したのは亡き母で、駿河には理解できない不可解な言動が死別した今でも激しい嫌悪を呼び覚まします。

駿河が捉われているのは生前の母の口癖の数々、中でも「毒にも薬にもなれない奴はただの水さ」で、つまり駿河は母の遺物は娘を試すためであり、呪物に願いをかけた時点で母の基準では敗者であり、自業自得のように呪いを背負ったのだ―と感じているのです。
駿河が悪魔様の噂の主と風評を聞いて沼地蝋花の転居した町に行くと、駅には亡き母の旧知の霊感詐欺師が待ち構えていました。彼は誰も知らない筈の駿河の左腕の呪いを知っており、やがて欲しがる者が現れたらためらわずに渡せ、と忠告していきます。

バスケの駿足シューターの駿河の好敵手だった「泥沼ディフェンス」の沼地蝋花は中学三年生で左足を故障し選手を引退、学校も転校していました。秘密を抱えた同士ですから会話はすでに何をどう話せば自分に有利かの駆け引きになっています。蝋花から悪魔様を騙る動機を訊き出すには自分がそれを知りたい理由、つまり左腕の呪いを打ち明けなければなりません。
しかし左足に包帯を巻き、松葉杖姿の蝋花は自分の不幸を利用して他人の不幸の告白を愉しんでおり、相談者はやがて時間が解決するから何ら問題はないのだ、とうそぶいて駿河の倫理観を激しく反発させます。

ですが駿河は約束通り自分の左腕の呪いを暗示的に打ち明けます。突然蝋花は駿河を抱擁し、胸をつかみます。もう二度と会うことはない、と別れて、翌朝駿河の左腕は元に戻っていました。そこに駿河が蝋花の身元調べを頼んだ少女から電話がかかってきます。昨日会って事情はわかった、と応える駿河に、少女はそんな筈はない、彼女はバスケを辞めた直後自殺しているんだよ、と伝えます。駿河の中で詐欺師と蝋花を結ぶ真相が突然解けて、彼女は本当の蝋花との対決に向かいます。それは自分と蝋花を共に呪いから解き放つためでした。(続く)