人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

Claudio Rocchi-"Viaggio"Italy,1970

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Claudio Rocchi-"Viaggio"Italy,1970(Full Album)
[Tracce]
(LATO A)
1.Oeuvres - 5:43
https://www.youtube.com/watch?v=ubzWZ4pPWmI&feature=youtube_gdata_player
2.La tua prima luna - 3:42
https://www.youtube.com/watch?v=47BB0hHRE6M&feature=youtube_gdata_player
3.Non ?? vero - 2:37
https://www.youtube.com/watch?v=eCqQNbddeJU&feature=youtube_gdata_player
4.Ogni uomo - 4:54
https://www.youtube.com/watch?v=RLp-WQJ9-cw&feature=youtube_gdata_player
5.Gesu' Cristo (Tu con le mani) - 5:58
https://www.youtube.com/watch?v=fn5TBeHopfY&feature=youtube_gdata_player
(LATO B)
1.Ma qui - 1:10
https://www.youtube.com/watch?v=76XweM2_aFs&feature=youtube_gdata_player
2.I cavalli - 1:58
https://www.youtube.com/watch?v=Mifhkhh7SMs&feature=youtube_gdata_player
3.Acqua - 5:26
https://www.youtube.com/watch?v=qiHqqUX1mh4&feature=youtube_gdata_player
4.8.1.1951 - 4:55
https://www.youtube.com/watch?v=Mt85h2ogY18&feature=youtube_gdata_player
5.Questo mattino - 2:05
https://www.youtube.com/watch?v=WQbscpvhnmo&feature=youtube_gdata_player
6.Viaggio - 7:32
https://www.youtube.com/watch?v=oVfKwh72H-E&feature=youtube_gdata_player
[Formazione]
Claudio Rocchi: voce solista, chitarra, pianoforte, bongo
Mauro Pagani: flauto, violino, conga
Roberta Rossi: voce (in La tua prima luna)
Annie Lerner: voce (in Gesu' Cristo (Tu con le mani))
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(セカンド・アルバム"Volo Magico N.1"1971裏ジャケットより)
 イタリア70年代初頭のアシッド=プログレッシヴ・カンタウトーレ(シンガー・ソングライター)で三人男と言えば、カンツォーネではなくはっきりとロック畑から出てきたという点でもクラウディオ・ロッキ、マウロ・ペローシ、アラン・ソレンティの三人になるだろう。アラン・ソレンティ(1950年生)は現役で、72年のデビュー作から74年のサード・アルバムまでは強烈にサイケなロック・カンタウトーレだったが(特にデビュー作と第二作は名盤とされる)以降カンツォーネAORに転身して国際的人気歌手になり、今日までアルバム12枚と寡作ながら世界中のイタリア系移民から人気がある。この三人はイタリア版ウィキペディアに詳しい項目があるが、アメリカ版ウィキペディアにも項目があるのはソレンティだけになる。
 マウロ・ペローシ(1949年生)も健在で自分のウェブサイトを持ち、YouTubeに8mm撮影の短編映像を発表したりしているが、ひ弱かつ自虐的な作風でソレンティやロッキのような華がない。音楽活動は72年のデビュー作『死に至る病』、第二作『小人市場』1973、第三作『マウロ・ペローシ(通称『クマちゃん』)』1977を経て第四作『猫の斑紋』1979で引退している。ペローシ作品だけの単体CD化が行われていないため(伊ユニヴァーサルからの『70年代イタリアン・プログレッシヴ・ロック』6CDボックス・6セットに全4作が分散収録されてはいるが)、三人では知名度はロッキと同程度かもしれないが、作品は浸透していない。アナログ盤時代には前期二作の日本盤も出ていた。デジタル・ダウンロード版は全4作が発売されているが、ペローシを聴きたい人にダウンロード・オンリーの販売方法が向いているとは思えない。
 クラウディオ・ロッキは1950年生れで、ビート・グループのストルミー・シックスに在籍してベースとヴォーカルを担当していたが69年のファースト・アルバムだけで脱退、1970年にアルバム『ヴィアッジオ』でソロ・デビューを飾る。ストルミー・シックスのアルバム『明日の音楽のための今日の観念』は室内楽楽器を導入したバロック調のソフト・ロックで日本でも同時期にザ・ランチャーズ『フリー・アソシエイションズ』やハプニングス・フォー『クラシカル・エレガンス』などがあり、プレ・プログレッシヴ・ロックの過渡期的成功作にはなっている。ストルミー・シックスも長寿バンドで今なお活動中なのは立派なものだ。
 『ヴィアッジオ』は全曲自作、ロッキ自身のギターとピアノ以外にはマウロ・パガーニ(PFM結成前)のフルート、ヴァイオリン、コンガと、A2・A5に女性ヴォーカルのゲスト参加があるだけだが、凝った録音とサウンド・エフェクツ(テープの逆回転やループ、逆位相など)でサイケデリックな音響を作り出しており、A1・B1などは通常の楽曲や演奏ではなく音響そのものを聴かせるための曲になっている。
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 イタリアのロックのCD再発はなかなかニュースが入ってこないので定期的に検索をかけるしかないが、ロッキは初期三作が三部作といえる記念碑で、初めて聴いた25年前にはすでに定評があり、思えばまだ当時ロッキは40歳にもなっていなかった。サード・アルバムは後にすぐ再発CDを買い直すことができたが、デビュー作と第二作はカタログ上は生きているのに店頭はおろか何度注文しても入荷しない。それがつい最近調べたら、かつてのようなインディーズからの再発ではなくメジャーのソニーからの新装再発で大喜びで注文して難なく入手し、アナログ盤以来の再会を堪能した。
 イル・ロヴェッショ・デッラ・メダーリャの『コンタミナツィオーネ』と同じレーベルから同時再発されたようだから、70年代イタリアン・ロックの一斉再発でもしているのかなと思ったが、まさかの予感がして調べたらロッキさんは昨年6月に逝去していた。享年62歳、デビュー作B4の曲名『1951年1月8日』はロッキさんの誕生日です。アルバムは生涯に23作(うち1枚ライヴ・アルバム)。80年代以降は元アレアのパオロ・トファーニと組んで非商業的な宗教音楽活動(ハレ・クリシュナ教)をしていたという。ソレンティやペローシよりも早くロック・カンタウトーレの道を拓き(イタリアン・ロックの70年と72年では10年分くらい激しい変動があった)、音楽活動も生涯現役だったのだから充実した一生だったろうと、遅ればせながら冥福を祈りたい。新聞を取っていないのでわからないが、ソレンティならともかくロッキの訃報が日本の一般紙に載ったとは思えない。
 CDで初期三部作を通して聴くと、着実に一作ごとに進展があり、完成度は第三作が一番高いがインパクトではデビュー作、第二作に分がある。第三作だけ聴くとソレンティやペローシより大人しく感じる。『ヴィアッジオ』は第二作『魔術飛行N.1』より荒っぽいしシンプルだが、そこがいいとも言えるだろう。次回・次々回で第二作と第三作も紹介するが、第二作を軸にデビュー作と第三作が対照的になっているような印象がある。
 英文サイトの"discogs.com"でクラウディオ・ロッキの簡略かつ要を得た評伝が掲載されていたので、三回に分けて引用したい。今回はこのデビュー作まで。
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(discogs.comより)Profile:
Claudio Rocchi (Milan, January 8 1951 - Rome, 18 June 2013) was the original bass guitarist of Stormy Six, and played on their first album Le idee di oggi per la musica di domani, leaving the band soon after the album release for a solo career that started in 1970 with the first album, Viaggio, mainly acoustic and with good flute playing by PFM's Mauro Pagani.
Always influenced by eastern doctrines (he later became a Hare Krishna), he was also active in anti-war movements and always present at the various Italian pop festivals of the early 70's.
 (拙訳) クラウディオ・ロッキ(1950年1月8日ミラノ生れ~2013年6月18日ローマにて逝去)はストルミー・シックスのオリジナル・ベースギタリストを経てバンドのファースト・アルバム発表間もなく脱退、1970年にファースト・アルバム『ヴィアッジオ』でソロ活動を始める。同作は主にアコースティックで、PFMのマウロ・パガーニの優れたフルート演奏が聴ける。
 常に東洋思想の影響を受けながら(彼は後にハレ・クリシュナ教徒となる)、ロッキは熱心に反戦運動に参加し、70年代初期のイタリアのポピュラー音楽フェスティヴァルの常連出場アーティストになった。