人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

ピーナッツ畑でつかまえて(28)

 いま危機に瀕しているのが誰なのかといえば、まだおたがいの存在に最後の可能性を残している(あえて迂遠な表現をするなら)、ともいえるチャーリー・ブラウンスヌーピーよりも、考えすぎが悪く働いて徐々におのれの実在性が薄れつつあることに気づき始めた偽ムーミンよりも(考えないことだ、と考えるのも深みにはまる一方で)、しんのすけの出奔が毎度必ずや家族全員(といっても核家族ですが)を巻き込む大騒動に発展する野原一家よりも(ただしそれは『映画クレヨンしんちゃん』の時だけの話)、手っ取り早くヤキトリにすれば二人とも当座はしのげるとチャーリーとスヌーピーが気づけばそれまでよのウッドストックでもなく(それにはこーちゃんのじいさんが要るので)、
・氷浸けの(真)ムーミン
 なのにようやく気づいたのは、他ならぬムーミン本人でした。ムーミンは景気づけに電線音頭を踊ろうとしましたが、そんな40年あまりも昔のコントをやってしまうのは思いつきにもほどがある、と反省し、だいたい氷浸けでは踊りようがないのにも落胆しました。

  冷凍魚
  思はずも跳ね
  ひび割れたり     高柳重信


「、、、、、、、、、、、、、、、、、、!」
 とウッドストックスヌーピーに向き直ると、このクリクリ坊主に通訳してやってくり!と万国共通のクソッたれサインを出しました。小鳥にしては器用なものですが、小鳥は万来歌が好き、母さん呼ぶのも歌で呼ぶくらいなので、
「、、、、、、、、、、、、、、、、、、!」
 以外には無駄口は叩かないのです。しかしそれではスヌーピーにすら通じないときがあり、鳴き声が駄目となるとボディ・ランゲージより他にどんな方法があるでしょうか?
・マーキング行為?
 鳥もマーキングするんでしょうかね、とスノークは消えていくビールの泡を見つめながら呟きました。さあねえ、とひろしは受け流すと、ふと思い出して、オイみさえ、しんのすけはいつから出てったんだ?そうか帰るとすぐか、じゃあシロの散歩は今日はまだじゃないか。
 たまにはいいんじゃない、とみさえはひまわりの紙おむつを取り替えながら答えました。海原雄山は紙おむつを許しませんが、野原家のやり方に口を挟む資格はありません。
 どう考えてもぼくが一番悲惨だ、と(真)ムーミンは思いました。だけど、どうすればこの窮地から逃れられるのだろうか?