人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

新☆戦場のミッフィーちゃんと仲間たち(10)

 ずいぶん柄の悪い外人部隊だナ、としんのすけは言いました。かすかべ防衛隊の仲間は慌ててしんのすけを囲んでいっせいに世間話を始めてごまかしました。あんな怖そうな人たちに聞こえたらどうするんだよ、しんのすけ、と風間くん。怖そうな人たちとは、もちろんカウンターに座ったジョータローたちの一行です。たとえ正義の味方でもこれほど威圧感を放っていれば、普通の感覚では怖そうな人たち、と見られても仕方ないでしょう。
 カウンターに座った、というのは文字通りで、平均身長りんご3こ分のハローキティたちに合わせて作られたカウンターの椅子はジョータローたちにとっては靴磨きの台ほどの高さもありませんから、カウンターに尻を乗せて背中向きで座る以外には腰を休めようがありませんでした。そうなるとキティやジョータロー、しんのすけたちでは縮尺が合わない点が問題になると思われますが、この場合広さや狭さは相対的なもので、りんごにも観賞用などを含めてさまざまな大きさがあり、また、ジョータローの握りこぶしに収まるりんごなら、3こ重ねれば普通の人間の膝の高さに届くでしょう。相対的とはそういうことで、あらゆる人種を想定して作られたこのディヴィジョンは一種の超ユークリッド的空間と言えるものでした。
 わしらはさぞ柄の悪い外人部隊に見えるじゃろうな、とジョースターさんが苦笑しました。遺憾ながらそのようです、とアヴドゥルが肯くと、花京院もつられてサングラスの下で苦笑しました。おれたちのどの辺が?とポルナレフが不服そうにつぶやくと、上半身裸の奴がおるじゃろ、とジョースターさん。イギーがクックッと犬ならではの笑い声を上げました。やれやれだぜ、とジョータローは言いました。
 幼稚園児に荒くれ者、とメラニー、どうも客筋に納得がいかないわね。てっきりうちの店とかぶっているのかと思ったら、どうもそうじゃないみたいじゃない?どういうこと?とアギーは首をひねりました。バーバラやウインに訊いてみなさいよ、とメラニー。アギーの口もとがxからあわあわと*になりました。アギーはバーバラやウインとは、ミッフィーメラニーを介した間接的なやりとりしか交わしたことがないのです。これは5人組のグループなどではどの社会でもよくある現象です。アギーは助けを求めてミッフィーに向き直りましたが、折しもカウンターにはハローキティ姉御が出てきたところでした。
 第一章完。