人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

今年の桜はまだ蕾

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 いま桜という検索ワードでブログを探したら日本中の人が桜について作文していると思う。かく言うこのブログでも例年この季節、つぼみが芽ぐむあたりから八分咲き、満開、葉桜までを載せるのが年中行事になっている。これはご先祖様がたが因果を残したようなものだが、日本国内の桜密度は全世界でも際立って高いのではあるまいか。昔から日本人がせっせと桜を植樹してきて、日本に生まれ育つのは桜の記憶を植えつけられて育つようなものだからだ。

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 桜の木を切ったのは誰だ?ぼくがやりました。正直でよろしい。そして正直者の少年は大統領になりました、というお話も、ひょっとしたらその国の国民よりも日本国民の方がよく知っているかもしれない。それにこれは正直の美徳を説いた逸話ではなくて、そういう粗忽者を大統領にしてしまうお人好し新興国家がありました、という笑い話かもしれないのだ。何にせよこれが松の木や杉の木だったらさまにならないというか、単にたきぎを刻った少年で、たきぎ泥棒の話になってしまう。

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 とにかく桜に関しては誰もが何かしらの思い出があるわけで、学生時代にさかのぼってみてもなぜかこの季節は山に入って自殺未遂を起こすやつやら、包丁を持って夜中に押し入ってくるやつやら、酒盛りの途中から睡眠薬のオーヴァードーズ合戦になるやらで友人・知人関係が急激に悪化するきっかけが起こりやすい季節という印象がある。春爛漫、この爛漫が曲者なのだろう。長女の同級生のお父さん、つまり自分と同じような年輩と立場の人が突然縊死したのも葉桜の季節で、そちらの家庭に影響されるようにうちの家庭も悪くなって、離婚に至ったのも桜の延長上にある思い出になる。桜の季節から離婚まではゴールデンウィーク明け程度の短期間だった。他人には笑い話にもならない、そういう桜の思い出もある。娘たちと見た桜もそれが最後で、今となっては現実の方が大事だから、それが最後のままでいい。そう思えるようになっている。