人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン・改(24)

 レストランの中に見える顔ぶれは(もっともまだ食事は開始されておらず、何のためにこの建物に集まっているのかは--もちろん食事のためだとしても、まだ料理が出されておらず、従ってレストランだと確証できないうちはスナフキンにはわかりませんでしたが)、
 ムーミンパパ、ムーミンママ、ムーミン/スノーク、フローレン/ジャコウネズミ博士、ヘムレンさん/ヘムル署長、スティンキー/ミムラ、ミイ、ミムラ族35兄弟姉妹/ミムラ族とスナフキンの母ミムラ夫人/スナフキンの父ヨクサル/発明家フレドリクソン/3人の魔女トロール・トゥーティッキ、モラン、フィリフヨンカ/フィリフヨンカの叔母エンマ、女友だちガフサ/小言じじいグリムラルンさん/双子夫婦トフスランとビフスラン/谷のガキどもホムサたち/見えない少女ニンニ/迷い這い虫ティーティウー/群棲担子菌類ニョロニョロ/ご先祖様(暖炉の裏に住む老ムーミン)
 といった多彩な、または似たりよったりの住民たちで、彼らの姿を認めてスナフキンは追放された者の悲哀を感じました。正式にはスナフキンは彼らの仲間になったこともありませんから、追放されてもいないことになりますが、事情は大して違いありません。スナフキンは歓迎されざる招待客だったのを痛感せずにはいられませんでした。自分を招いたのはこの谷の人びとだったはずなのに、なぜ彼らはスナフキンを歓迎しないのでしょうか?
 ひょっとするとおれより先に手頃な測量士を見つけて用を済ましたのかもしれないぞ。こんなへんぴな途中の出張依頼を受ける測量士が他にいればの話だが。だとしたらおれだってキャンセルに見合った損料を請求する権利がある。確かにおれは遅れて着いたからそれが理由で依頼をドタキャンされたのかもしれないが、山を越え霧の野原を越えてここまでたどり着くのは大変な苦労をしたのだ。もちろん鉄道もバス路線もないのでほとんど歩いてきた……もちろん途中までは放置自転車を見つけては乗り潰し、見つけては乗り潰してきたのだが、しまいには放置自転車すら見当たらない田舎どころではない田舎になり、やがて道らしい道すらなく、おれが測量士でもなかったら(まさか自分の進路を測量しながら出張することになるとは!)やって来ることすら不可能だったろう。しかしこれでは報酬どころか(それは仕事がまだだから仕方ないが)キャンセル料どころか、足代すら出ないのではないか?