2017年深夜冬アニメ(1月～3月)総評感想文

　少々遅くなりましたが2017年冬アニメ(1月～3月期)について全般の感想文をお送りします。2016年秋アニメ(10月～12月期)がそこそこ充実していたのに較べ、今期は標準作ですらベスト作品と見なさなければいけないくらい低調なシーズンになりました。まず再放送作品が通常より多く、それも劇場版新作公開とのタイアップや第2期放映に先立つプロモーションのためで、昨年度は劇場版アニメの活況が話題になりましたがその傾向は今年も続くようです。映画界の方が劇場版アニメとコミックス原作の実写化になんとか活路を求めている背景があり、映画に可能性があるなら最新の題材を採り入れていくしかないのではないか、という風潮は'90年代からありましたがコミックスのヒット作ならまずアニメ化し、平行して実写化する傾向もこれほど頻繁になると飽きられるのも近いのではないか、と懸念されます。もともと映画は舞台劇、大衆小説の評判作を片っ端から映画化してきた歴史はありましたが、コミックスの実写化、アニメーションの実写化となると視覚的メディアに直接原作を仰ぐわけで、観客(視聴者)は劇や小説の映画的視覚化を楽しんでいた時よりもコミックス、アニメーションからの直接的視覚的再現を期待します。また、劇場版アニメの活況がテレビ放映アニメのスタッフを奪っている現状が実際にあり、それがテレビ放映アニメの新作の質の低下を招いてはいないでしょうか。ソフト(Blu-ray, DVD)売上の低迷から2話1巻から3話1巻でのリリースや、最初からボックスセットのみで発売される例も増えているようです。ある意味現在は自然淘汰が進行しつつあるのかもしれませんが、このまま右肩下がりなのか劇場版アニメの活況がテレビ放映アニメの活路にフィードバックされるものか、まだ様子を見ずには言い切れません。今回も一応なるべく客観的に★採点をつけましたが、好き嫌いは別として目安程度にご覧ください。

＊[ 日　曜　日 ]

★★★エルドライブ
22:00～22:27 / TOKYO MX 1

・2017年冬アニメ水準作の一作。宇宙の平和を秘密裏に守る宇宙警察にスカウトされたヘタレ超能力少年が主人公のコメディ。通常シーズンなら水準作で終わる埋め草のような作品だが、これしも佳作としなければならない今期アニメ水準の低さがつらい。

★☆にゃんこデイズ
22:27～22:30 / TOKYO MX 1
・実質1分の猫キャラCGアニメ。こういうのはチャンネル変えないためのつなぎなのでとやかく言わない。

★★チェインクロニクル ヘクセイタスの閃
22:30～23:00 / TOKYO MX 1
・次の「テイルズオブ～」シリーズ同様の剣と魔法ものシリーズ。シリーズのファン向け。こちらの方がゲーム臭い展開だったかな。

★★テイルズオブゼスティリア ザ クロス
23:00～23:30 / TOKYO MX 1
・毎回観てもさっぱり忘れてしまう。R15ならぬU(under)15アニメかもしれない。長いシリーズらしく何だかこのままループするような話。

★★アイドル事変
23:30～00:00 / TOKYO MX 1
・アイドルが国政を変える、という政党版「アイドルマスターズ」。昨今のアニメ界、アイドルがという設定なら何でも企画が通るのか。

★★★★★リトルウィッチアカデミア
00:00～00:30 / TOKYO MX 1

・劇場版アニメの秀作がテレビシリーズにフィードバックした素晴らしい作品。地味な魔法学園ものだが、非常に丁寧な製作姿勢で毎回が短編アニメとして充実した出来ばえが光った。このレベルの作品がもう数作あったら今期もまだしもだっただろう。

★★四畳半神話大系
00:30～01:00 / TOKYO MX 1
・劇場版公開に伴うキー局放映済み作品の地方局放映。好き嫌いを分ける一見アート系文芸趣味的作品としてずばり好みを言えば、こういうのは虫酸が走るほど苦手。

★★★☆銀魂
01:35～02:05 / テレビ東京 1
・「帰ってきた銀魂、でも深夜」というCMが笑った。良くも悪くも変わっていない。銀魂はそれで良い。

＊[ 月　曜　日 ]

★★★「進撃の巨人」オリジナルマスター版
23:00～23:30 / TOKYO MX 1
・数回観直した。春アニメで第2期が放映されるので予習放映というところ。

★★★☆ガヴリールドロップアウト
00:00～00:30 / TOKYO MX 1

・天界の天使と悪魔の女子高生が地上に学習のため降りてきて、普通の女子高生として面白おかしく過ごす(だけ)という日常コメディ。これも水準作。天使のガブリエルはGabrielだからヴは間違いだろ、とヤボは言わないが、この程度の水準作すら数少ない冬アニメなのだった。

★★☆霊剣山 叡智への資格
00:30～01:00 / TOKYO MX 1
・相変わらず地味な日中合作アニメ。面白いかと言うと詰まるが、真面目さは買いたい。

★★ちるらんにぶんの壱/ワカコ酒
01:00～01:05 / TOKYO MX 1
・1分半アニメの2本立て。新作の前者より再放送の「ワカコ酒」がいい。酒はやらないが簡単なおかず作りの参考になる(笑)。

★☆TRICKSTER 江戸川乱歩「少年探偵団」より [ 第2クール ]
01:05～01:35 / TOKYO MX 1
・これも中二病アニメの典型というか、耽美と猟奇のミステリーアニメなんて観ていて気恥ずかしい。需要はいつでもあるんだろうな。

＊[ 火　曜　日 ]

★★アニメの神様『ドラゴンボールZ』
22:00～22:29 / TOKYO MX 1
・旧作の再放映は悪くないと思うが、1:1.33比率時代のアニメはさすがに古い。しかもこの時代のアニメは中途半端に古い。

★★アニメの神様『機動戦士ガンダムSEEDーHDリマスター版ー』
22:29～23:00
・初放映の時には「ガンダムもあか抜けたなあ」と感心したが、20年弱も経つとさすがに古い。絶好調の三石琴乃さんの演技が聴けるだけでもまだしも楽しめる鮮度があるか。

★★★★☆ACCA13区監察課
23:00～23:30 / TOKYO MX 1

・架空の合州国制国家を描いた権力策謀劇。警察ものかと思わせる始まりから国家レベルの陰謀劇が明らかになっていく展開はスローテンポだがスリリングで、これは秀作。低調な冬アニメに混じって放映されたのがもったいない。

★★★ハンドシェイカー
00:30～01:00 / TOKYO MX 1

・超能力バトルものの水準作。日本アニメがやたら超能力バトルに走るのは大友克洋のもたらした最大の悪影響だろうが(大友の発想源は'70年代オカルト映画や派生作『キャリー』だと思われるが)一応は話らしい話になるので、単純に悪影響と言えるか難しいところ。本作もそれなりに工夫はあるのだが。

★★★☆南鎌倉高校女子自転車部
01:00～01:30 / tvk 1

・tvk(テレビ神奈川)1局放映ならもったいない。水準作ながら類似の先行作『ばくおん！』『ろんぐらいだーす』などの良い面を集めたような女子高生ツーリング部活もので、のびやかな良さがある。こういう水準作ならむしろ好ましいのだが。

★★けものフレンズ
01:35～02:05 / テレビ東京 1

・動物擬人化キャラ(当然全員女の子)のほのぼのCGアニメ。これも嫌みがなく、あってもなくてもいいがないとさびしいタイプの作品。低調なシーズンだと平凡さがよけい目立つ不利な箸休め的作品ながら、何とネット配信がパンクする怪現象を起こした怪人気作品だったのも不思議な気がする。

＊[ 水　曜　日 ]

★☆うわばきクック
22:25～22:30 / TOKYO MX 1
・左右のうわばき兄弟の擬人化アニメ。どうこう言うようなものではない。

★☆ピアシェ～私のイタリアン～
22:30～22:35 / TOKYO MX 1
・タイトル通りの家庭でできる料理アニメ。まあ殺伐としたニュース番組で夜を過ごすよりこちらの方がいい。

★☆アニソンフィットネス A-fit
22:35～22:40 / TOKYO MX 1
・一応アニメ番組だが実写でタイトル通りアニソンでフィットネスする実用的(？)健康番組。

★☆One Room
22:40～22:45 / TOKYO MX 1
・一人称視点で女子高生とサシでお部屋で過ごすギャルゲー的3分アニメ。楽しいか？

★★AKIBA'S TRIP - The Animation -
23:30～00:00 / TOKYO MX 1
・秋葉原を襲う異形の侵略者を迎え討つコメディ超能力バトル。よく知らないがタイトルからしてゲーム原作か。脱力水準作。

★★★☆小林さんちのメイドラゴン
00:00～00:30 / TOKYO MX 1

・メイドとして住み着いた変身能力のあるドラゴンとOLの同居生活コメディ。これも水準作。良いシーズンならもっと引き立つのだが、低調シーズンだと物足りない。よくあるほのぼの4コマ原作アニメと思いきや何と京都アニメーション制作とは別の意味で意外。

★★★★魔法科高校の劣等生
00:30～01:00 / TOKYO MX 1
・キー局放映済み作品の劇場版公開に合わせたプロモ的地方局放映。人気作品だけに悪くないが、旬を過ぎた作品を観ている感は否めない。

★★★★この素晴らしい世界に祝福を! 2
01:05～01:35 / TOKYO MX 1

・地味に人気作だった第1期から順調に続いた魔界冒険ものパロディのラノベ原作作品。とりわけ傑出したコメディ佳作でもないが、これがあっただけ冬アニメもまだましだった感のある不況に強い作風が楽しめた。

★★☆カオスチャイルド
01:35～02:05 / TOKYO MX 1

・猟奇犯罪超能力陰謀劇とあって気持のいい作風ではないが単純なバトルものではないだけ引きがあった。暴力と残虐シーンが多いから海外ではR指定だろう。2回観たくはない作品。

＊[ 木　曜　日 ]

★☆ちょびっとづかん
21:55～22:00 / TOKYO MX 1
・小物たちの擬人化アニメ。矢島晶子さんの声がしんちゃんと同じなのが可笑しい。

★★★BTOOOM! (再)
22:00～22:30 / TOKYO MX 1
・「ボンバーマン」をベースにしたコミックス原作作品のゲーム化(ややこしい)にともなう再放映。これもそれなりに面白い爆弾バトルもので、あまりのマンガっぽさ(キャラの薄さ、ご都合主義)を許容できれば楽しめる。

★★★政宗くんのリベンジ
22:30～23:00 / TOKYO MX 1

・子どもの頃に振られた性悪少女へ高校生になってから誘惑して仕返すと策謀する少年。他愛ないラブコメ水準作でひねりがないのがかえって取り柄かも。萌えポイントがないところが淡白で良いとも言える。

○月刊ブシロードTV
23:00～23:30 / TOKYO MX 1
・アニメ情報番組だが今期は「バンドリ」の番宣番組になっていた。『バンドリ』については後述。

★☆MARGINAL#4 KISSから創造るBig Bang
23:30～00:00 / TOKYO MX 1
・男子アイドル版芸能人アニメで『スタミュ』等シリーズのファン向け限定作品。どうこう言っても仕方ないが、低調シーズンに放映されると辛さ倍増。

★★★☆ALL OUT!! [ 第2クール ]
00:00～00:30 / TOKYO MX 1
ＴＯＫＹＯ ＭＸ１
・部活ラグビーもので暑苦しい青春アニメだがしっかりした内容で観ていると引き込まれる。ただし地味、だがそこが味か。

★★★★★<ノイタミナ>クズの本懐
00:55～01:25 / フジテレビ

・今期屈指の屈折青春メロドラマで二股、レズ、擬似近親相姦のセックス描写満載。煩悩まみれの恋愛アニメだがこのくらい徹底されると説得力も感動もある。青春アニメとしても『三月のライオン』よりはるかに説得力がある。これは青少年限定を超えている。アダルトです。

★★うらら迷路帖
01:58～02:28 / TBS 1
・占い師の少女たちが学ぶ街を舞台にしたファンタジー・コメディ。これはいまいちかな。

★★☆セイレン
02:28～02:58 / TBS 1

・ギャルゲーそのもののストレートなラブコメで気恥ずかしいがサービスに徹した良さがある。一応水準作には届いている。

＊[ 金　曜　日 ]

★★☆Rewrite[再]
22:00～22:30 / TOKYO MX 1
・第2期放映と同時の第1期再放映だがよくあるギャルゲー＋超能力＋世界改変ものバトルファンタジーの組み合わせで焦点ボケの上絵柄が10年古い。10年前なら斬新だったかもしれないが焼き直しの観を出ない。ちなみに第1期の最終話など滅茶苦茶なバッドエンドで、第2期をやるために無理矢理落とし込んだエンディングだったわけだが2回観たい作品ではない。

★☆ツキウタ。THE ANIMATION[再]
22:30～23:00 / TOKYO MX 1
・『MARGINAL～』同様の男性アイドル芸能人アニメ。いやはや。

★★★★☆冴えない彼女の育てかた
00:00～00:30 / TOKYO MX 1
・春アニメ第2期放映前にキー局から地方局放映の第1期。<ノイタミナ>枠人気作品だけあって面白い青春ラブコメ。これは予習放映もありがたい佳作だが今期新作の低調ぶりがなおさら痛感される皮肉なことにもなってしまった。

★★スクールガールストライカーズ Animation Channel / TOKYO MX 1
00:30～01:00
・『ストライクウィッチーズ』みたいなものだが日常コメディのウェイトの方が大きい。結果散漫な作品になっている。これもいまいちか。

★★★★幼女戦記
01:05～01:35 / TOKYO MX 1

・パラレルワールド第二次大戦ものでドイツに相当する国の魔術師幼女が無情残虐な将校として活躍するヒール・ヒロイン戦争アニメ。ヒロインを悠木碧さんがシニカルに演じているのが面白い。作品は序盤が面白いだけに話が進んでヒロインの非情さに慣れてくると面白さが減じていくのが皮肉。佳作だが近年の平行世界戦争ものの類似作『純潔のマリア』『終末のイゼッタ』ほどの秀作にはならなかったかな。

★★SUPER LOVERS 2
01:40～02:10 / TOKYO MX 1
・美青年＋美少年(小学生)の年の差BLアニメ。いるんだろうなあ、好きな人。

★★アニメイズム「青の祓魔師　京都不浄王篇」
02:10～02:40 / TBS 1
・タイトル通り和風エクソシスト学生もの。フジテレビの<ノイタミナ>枠に較べTBSの「アニメイズム」枠はなんか硬くて楽しくない。

★☆アニメイズム「昭和元禄落語心中－助六再び篇－」
02:40～03:10 / TBS 1
・第1期を観てあーはいはい「昭和元禄落語心中」このタイトルがセンスあると思える人向けね、と数話も観なかったが今回もそう。「四畳半神話大系」みたいなもの。アニメ観るより本物の文学でも読んでいる方がいい。

＊[ 土　曜　日 ]

★☆<ハオライナーズ> SPIRITPACT
21:00～21:30 / TOKYO MX 1
・日中合作アニメ枠。毎回工夫が見られる割には硬さが抜けない。今回はややコメディ調演出に傾いたがあまり成功したようには見えないのが残念。

★★☆風夏
22:00～22:30 / TOKYO MX 1

・両手に花の青春ラブコメにバンドものを合わせてみた。その程度の水準作で期待しないで観れば、という程度の作品。多分冬アニメの中ではプッシュされていた方だから、これが一押し作品なら低調シーズンを代表するような一作。

★★☆バンドリ!
22:30～23:00 / TOKYO MX 1

・マルチメディア戦略で実際はどれだけ人気があるのかわからない。『けいおん！』みたいに作品の力で取った人気では明らかにないし。CG画面の演奏シーンも『けいおん！』どころか『涼宮ハルヒ～』より映像的にはるかに貧弱、アニメは『ラブライブ』の乗りで『ラブライブ』よりはるかに貧弱と魅力が見つけられない。無理に盛り上げてみせて内実の伴わずに滑った作品に見える。放映がイベント絡みで特番混じりだったのでまだまだ続く模様だが……。

★★★☆アニメ 3月のライオン [ 第2クール ]
23:10～23:35 / NHK総合1
・このペースでは第2期では完結しないぞと思ったら10月に第3期の予告が出て中途半端に進んだ。第2期段階ではトリッキーな映像作りで定評ある製作・シャフトが本気で名作を狙ってコケた失敗作と思える。感動しろと言わんばかりの演出が作為の過剰でよろめいている。頻出する水、風、泡のイメージがわざとらしい。大ベテランがどうしてこんな陳腐なことをやってしまうのか。第3期にも正直期待できない。

○リスアニ!TV 5th Season
23:00～23:30 / TOKYO MX 1
・アニメ(アニソン)情報番組。昨年まであった『アニソン倶楽部』が無くなって残念。

★★☆Rewrite [第2クール]
23:30～00:00 / TOKYO MX 1
・第1クール評参照。結局このご都合主義ではいくらでも無限ループできる内容ではないか。

★★★☆亜人ちゃんは語りたい
00:00～00:30 / TOKYO MX 1

・日常系コメディ水準作。出てくる亜人がみんな女子、というハーレムコメディでもある。本当に今期新作は良くても水準作ばかりだな。

★★★★ひだまりスケッチ×ハニカム
00:30～01:00 / TOKYO MX 1
・ボックスセット発売に伴うキー局放映からの地方局放映。これ録画すればボックスセットいらないのではないか。シリーズ完結編、昨年メインキャストの声優さん(まつざか先生役)の急逝があったので追悼放映の意味もあるのかもしれない。シャフトの名作なので案外『三月のライオン』や『傷物語』制作費不足分の充填に当てられているのかもしれない。的中してたらすいません。

★★戦姫絶唱シンフォギア[再]
01:00～01:30 / TOKYO MX 1
・『マクロス』系歌姫ヒロインの戦闘アニメ。なぜ今再放映？(第2期をやるらしい)。

★★Free![再]
01:30～02:00 / TOKYO MX 1
・3回目くらいの再放映になるはず。なぜ今再放映？(劇場版新作に合わせたらしい)。