人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

SPK - Last Euro / US Tour 1987 ("Zamia Lehmanni Live" / "Oceania" Tour)

イメージ 2

SPK - Oceania / In Performance 1987. (Side Effects, 1988)
Recorded live during the SPK world tour in 1987.
Released by Side Effects Records SER11, 1988
Produced by Graeme Revell
(Side I)
A1. Oceania - 5:11
A2. The Doctrine Of Eternal Ice - 4:25
A3. Breathless - 6:25
A4. Mouth-To-Mouth - 6:50
(Side II)
B1. Kambuja - 6:30
B2. Crack ! - 5:30
B3. Seduction - 4:30
B4 Dies Irae - 6:50
(CD Bonus Tracks)
9. In Flagrante Delicto - 5:05
10. Necropolis - 5:45
11. In The Dying Moments - 6:36
SPK ]
Graeme Revell - all music 
Sinan - vocals
with
Brian Williams - performer
Karina Hayes - performer

イメージ 3

SPK - Paradiso / Zamia Lehmanni live (Therapeutic, 2014)
Digitally Recorded Live at Paradiso, Amsterdam, May 30, 1987
Released by Therapeutic/Adverse Recordings ‎OPSPK 3, October 1, 2014
1. Invocation - 5:47
2. Palms Crossed In Sorrow - 5:21
3. (Introduction into) In Flagrante Delicto - 7:42
4. Alocasia Metallica - 6:05
5. Necropolis - 5:34
6. Kambuja - 6:49
7. Oceania - 5:30
8. In The Dying Moments - 5:48
9. Crack ! - 5:52
10. Dies Irea (1, 2) - 11:26

 1987年、SPKは最後のワールド・ツアーを行いました。5月27日のフランクフルト公演から始まりケルン、ベルギー、アムステルダム、スイスと進んで6月7日のミュンヘン公演で一旦帰国し、8月7日からは元スロッビング・グリッスルのクリス&コージーのサポート・アクトとして北米公演を開始しデトロイト公演を皮切りにシカゴ、モントリオールトロント、マイアミ、パームビーチ、ダラス、ヴァンクーヴァー、シアトル、サンフランシスコと周り、8月26日のロサンゼルスで終了します。1987年にはツアーに合わせて新曲5曲、前作『Zamia Lehmanni』'86から5曲の再収録をまとめた変則的ニュー・アルバム『Gold & Poison』(既紹介)を発表していましたが、ツアー終了後にグレアム・リーヴェルはライヴ・アルバム『Oceania / In Performance 1987.』'88をまとめて自主レーベルのSide Effects Recordsから発売し、SPKを解散させます。解散と言っても1982年を最後にニール・ヒル(ヴォーカル、パフォーマンス、シンセサイザー、パーカッション)が脱退してからはマルチ楽器奏者のリーヴェルのソロ・プロジェクトと化していたSPKですから、解散声明は前年から始めていたリーヴェルのハリウッドの映画音楽の専念のためのものでした。

 ライヴ・アルバム『Oceania』はすべてヒル脱退後の曲で、A1, B1, B4が新曲、B3が『Metal Age Voodoo』から、A2とCD追加曲3曲が『Zamia Lehmanni』から、A3, A4, B2が『Gold & Poison』からとなっています。ですがSPKの公式ウェブサイト(SPK公式データ)、
http://home.pi.be/~spk/spkdiskography.htm
http://home.pi.be/~spk/spklive.htm
 ――に記載されているセットリストを見ても、1987年ツアーでは『Metal Age Voodoo』や『Gold & Poison』からの新曲はほとんどやっていないのです。アメリカ公演になって毎回1~3曲を『Metal Age~』や『Gold~』から加えるようになりましたが、ヨーロッパ公演は全公演が同一セットリストで、それは2014年発売のツアー序盤1987年5月30日のアムステルダム公演の発掘ライヴ・アルバム『Paradiso / Zamia Lehmanni live』で明らかになりました。

 この頃のSPKのライヴはリーヴェルによるDTMでヴォーカルのシーナンが歌い、リーヴェルとサポート・メンバー2名がDTMサウンドにメタル・パーカッションやノイズ・インプロヴィゼーションのパフォーマンスを加える、いわばカラオケ制なので、仕方なく毎回同じセットリストになったようです。『Oceania』は1992年のドイツのインディー・レーベルからのCD再発もすぐ廃盤になり再発売の様子もないので、バンド自身によるデジタル録音と最新マスタリングで素晴らしい音質と臨場感の『Paradiso』があればSPKの解散ツアー音源は十分、とも言えます。もっとも、実際の音源をご紹介したくても『Oceania / In Performance 1987.』『Paradiso / Zamia Lehmanni live』のどちらの試聴リンクも見つからなかったので、このツアーで観客によって録音された音源、ライヴ映像を代わりにご紹介します。5月27日のケルン公演はピッチが高くレンジの狭い録音ですが臨場感はあり、6月2日のハノーヴァー公演は客席からのワンポイント撮影ですがライヴ映像なので貴重、6月7日のミュンヘン公演はややステージが遠い感じですがその分音質は安定しており、この日がヨーロッパ公演最終日なので長めにインプロヴィゼーションを演奏している上にステージ完全収録なのも点を稼いでいます。

 このツアーは、セカンド・レグに当たる北米公演から中途半端に『Metal Age Voodoo』と『Gold & Poison』収録のダンス・チューンを加えた『Oceania / in Performance』の構成より、SPK後期の名作アルバム『Zamia Lehmanni』+ツアー用新曲で構成されたファースト・レグのヨーロッパ公演曲目『Paradiso / Zamia Lehmanni live』の方が統一感があるように思えます。『Metal Age Voodoo』期はBBCセッションにLP1枚相当分・40分8曲のスタジオ・ライヴがあり、アルバムよりも躍動感のある優れた音源ですし、『Zamia~』の後にダンス路線に戻って5曲の新曲を作った『Gold & Poison』はアルバムも新曲もSPKの蛇足の観が強いもので『Oceania / in Performance』に入っているヴァージョンも疑似ライヴなのではと疑わしくなるようなものです。『Zamia Lehmanni』も廃盤の現在、まだ輸入盤で新品が手に入る『Paradiso / Zamia Lehmanni live』は『Zamia Lehmanni』と『Oceania / in Performance』の2作を合わせた価値がある発掘ライヴ・アルバムです。

イメージ 4

SPK - Live at Rose Club, Koln (May 28, 1987) rare 1980s bootleg tape : https://youtu.be/pq4E5sCDvZw
(Setlist)
1. Invocation - 5:47
2. Palms Crossed In Sorrow - 5:21
3. in flagrante delicto (introduction) - 2:46
4. In Flagrante Delicto - 5:3
5. Alocasia Metallica - 6:05
6. Necropolis - 5:34
7. Kambuja - 6:49
8. Oceania - 5:30
9. In The Dying Moments - 5:48
10. Crack ! - 5:52
11. (Dies Irae)

イメージ 5

SPK - Live at Pavilion Musik Theatre in Hannover, Germany (June 2, 1987) audience video shot : https://youtu.be/s3tVZV79F5E
(Setlist)
1. Invocation - 5:47
2. Palms Crossed In Sorrow - 5:21
3. in flagrante delicto (introduction) - 2:46
4. In Flagrante Delicto - 5:31
5. Alocasia Metallica - 6:05
6. Necropolis - 5:34
7. Kambuja - 6:49
8. Oceania - 5:30
9. In The Dying Moments - 5:48
10. Crack ! - 5:52
11. Dies Irae - 6:50
12. (Dies Irae 2)

イメージ 1

SPK - Theaterfabrik Manege, Munchen, Germany (June 7, 1987) audience recording : http://www.youtube.com/playlist?list=PLAF_TXnSfGd9tRHGGMgNzscF9BlTAuWAE
(Setlist)
1. Invocation - 6:10
2. Palms Crossed In Sorrow - 5:25
3. in flagrante delicto (introduction) - 2:46
4. In Flagrante Delicto - 5:31
5. Alocasia Metallica - 6:47
6. Necropolis - 6:08
7. Kambuja - 7:24
8. Oceania - 5:43
9. In The Dying Moments - 6:10
10. Crack ! - 6:10
11. Dies Irae - 10:38
12. Dies Irae 2 - 9:29