人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

リヒャルト・ヴァーンフリート Richard Wahnfried - タイム・アクター Time Actor (IC, 1979)

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リヒャルト・ヴァーンフリート Richard Wahnfried - タイム・アクター Time Actor (IC, 1979) Full Album : https://youtu.be/gWIF6w8_m5Q
Recorded at Klaus Schulze Studio, Hambuhren, 1979
Released by Innovative Communication IC 58 065, September 1979
All tracks composed by Wahnfried (Klaus Schulze)
Lyrics by Arthur Brown (tracks: A1 to A3, B1 to B3)
(Side 1)
A. Time Actor - 8:58
A. Time Factory - 10:39
A. Charming the Wind - 4:48
A. Grandma's Clockwork - 4:08
(Side 2)
B. Distorted Emission 1 - 5:29
B. The Silent Sound of the Ground - 15:02
B. Time Echoes - 8:20
[ Personnel ]
Klaus Schulze - electronics
Arthur Brown - vocals
Vincent Crane - keyboards
Wolfgang Tiepold - cello
Michael Shrieve - percussion

(Original Innovative Communication "Time Actor" LP Liner Cover & Side 1/2 Label)

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 本作の録音と発売はクラウス・シュルツェ11作目のアルバム『デューン』と連続していて、『デューン』B面にヴォーカル参加していたアーサー・ブラウン、第10作『X』でオーケストラ・アレンジとチェロのソロイストとして参加し『デューン』にも全面参加していたウォルフガング・ティーポルドが参加し、さらにブラウンのメジャー・デビュー時('68年)のバンド、クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンのオルガン奏者で'70年代にはヘヴィ・プログレッシヴ・ロックのバンド、アトミック・ルースターを率いていたキーボード奏者のヴィンセント・クレイン参加、さらにはツトム・ヤマシタの「ゴー」プロジェクト通算3作をともにしたサンタナのオリジナル・ドラマーのマイケル・シュリーヴ参加と、「ゴー」プロジェクトの異種格闘技戦をシュルツェが新たに起こした自主レーベル、イノヴェイティヴ・コミュニケーション(IC)レーベルのプロジェクト・バンド作として発表するという、コズミック・ロッカーズ・セッションの諸作や「ゴー」プロジェクトのシュルツェ主宰版と言っていいものになり、名称の「リヒャルト・ヴァーンフリート」はリヒャルト・ヴァーグナーの別荘ヴァーンフリートにヴァーグナーのファースト・ネームをつけたもので、ヴァーグナー信奉者のシュルツェらしいネーミングです。このプロジェクトは毎作メンバーを変えながら、'97年まで7作(途中からはリヒャルトがとれて「ヴァーンフリート」名義)を数えました。
 そういういきさつなのでリヒャルト・ヴァーンフリート(「ヴァーンフリート」)作品はプロジェクト・バンド形態のシュルツェ作品と見なしても良く、参加メンバーを大きくフィーチャーしていてメンバーのインタープレイに自由を許している内容ですが、基本的な枠組みはシュルツェの提供曲の中でガイドラインがあるので、ソロ・アルバムでシュルツェが作っている音楽をセッション形態で再解釈したような具合になっています。 本作は『デューン』のB面で使用されたオスティナート(反復音型)のヴァリエーション集にスーパーヴォーカリストのブラウンがタイム・トラヴェラーを主人公にしたロック・オペラ的歌詞を乗せて歌ったアルバムで、強力なヴォーカリストの存在でシュルツェのアルバムでもロック色が強く聴きやすい快作になっており、スタジオ・アルバム制作のためだけのスーパー・セッション・バンドとはいえメンバー全員の息のあったパフォーマンスが堪能できる作品です。シュルツェ個人名義のアルバムにはない開放感があるのも魅力で、『デューン』や、やはりブラウン参加の曲を含む『…ライヴ…』'80とともに'70年代シュルツェの総決算といえる時期の重要作でしょう。