人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

死と暴力(2・谷岡ヤスジ)

日々訪問者数が減りつつあるこのブログですが皆さまいかがお過ごしでしょうか。ぼくは午前中歯科医院で月に1度のメンテナンスを受けてきて気持ちよかった(いずれ書くが、ぼくは42歳にして全歯を失ったがかろうじて歯茎は残っていたので32本全てを義歯にすることができた。だから毎月の通院は欠かせないのだ)。
月曜は危なかった。徒歩2分の精神科に往復するのにも身の危険を感じた。帰宅後の幻聴と幻覚。肉体的な苦痛すら感じた。精神障害者が自分の病状を客観的に記録すること自体が異常なのだがぼくにはそれができる。だったらやってみよう、というのが元々ぼくの性分だった。今だって良好ではないが上向きになっただけマシだ。
それに10万部、20万部の雑誌に職業ライターとして携っていた時よりも勝手に作家(自称)と名乗って書いて読んでくれる人もいる方がずっと嬉しい。ライター時代は読者の顔が見えなかった。今は見える。

まず故・谷岡ヤスジの傑作「馬と股旅」から引用する。あまりのオリジナリティに生前から天才と目されながらもエキセントリックさゆえ必ずしも広い読者層に恵まれたとは言えないマンガ家でもある。その膨大な作品はほとんど欲望と死と暴力をテーマにしており(何故か女性は死なない。レイプされても死なない。子供も死なない。虐待されても死なない)他にも「釣り人の死」「農夫の死」「聖者の死」「麻薬中毒者の死」「死刑囚の死」「牛の死」「馬の死」「豚の死」「ウナギの死」と枚挙にいとまがないが死だけに焦点を絞った作品は引用には向かない。「馬と股旅」を特に取り上げるのはこの作品が生と死の切り結ぶ瞬間を見事に捉えているからだ。中でもこの1コマ。以下引用する。
その前に注釈。ヤスジ漫画では動物はみんなしゃべる(だから獣姦は日常茶飯事)。動物どころか森羅万象しゃべる。正体不明の架空生物ばかりか人間らしき姿をしていても油断はできない。職業的性犯罪者(!)の犬や豚もいる。では引用。

・一本道で対峙する馬と股旅。
・股旅「どかんときる」
・馬「お前にワシはきれんよ」「なぜならワシはきーきーきるきるきれないだーら」「おそれいったか」
・股旅「おそれいらん」「なぜならオレはおーおーおそれおそれおそれいらないだーら」

…どうでしょうか皆さん。(氷のような沈黙)やっぱりダメですか?
引用だけで終ってしまった。