人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

バカ話(1・序説)

しまったあ、と少し後悔、でも感服多大な気分だ。言うまでもなくリクエスト受け付けますの件で、初めて来たお題は「出会い」、今回は「バカ話」と来た。どちらも括りがでかすぎて焦点が絞り込めない。ぼくは普通に「ヌーヴェル・バーグ」とか「ライター生活」とか「グループ・サウンズ」とか趣味的もしくは回想的で具体的なリクエストを予想していたが、甘かった。「出会い」も幅が広くて、かと言って出会い系サイトの話など書いても面白くないので苦心したが、「バカ話」となると…(絶句)。
ぼくの精神疾患の主幹は双曲性障害(躁鬱病)、さらに人格障害としてシゾイドと強迫性の複合型があり、さらに幼少期に遡るアスペルガー症候群が根幹となっている。早い話ユーモアの感覚がズレている。
昨年春に入院した病院では窓から池が見え院長自慢の錦鯉が泳いでいた。ある日一匹が死んで浮いていた。嫌だねえ、早くかたづけてくれればいいのに。翌日にはもう死体はなかった。
数日経った。自由外出の門限が過ぎると、夕食までの時間なんとなくみんな窓辺でボーっとなった。錦鯉は丸々太った体を泳がせている。
「おれたちはあの錦鯉以下の扱いだな」とルームメートが言った。「そう思わないか?」
周囲の注目がぼくに集まった。「かもね」とぼくは言った、「でも死体が浮いてないだけましだよ」
ブーイングの嵐(笑)。

口直しに俳句を引用する。どれもぼくの好きな句で、明るいユーモアが漂っている。

・なめくぢが照り映えていいる葱の先(飴屋實)

・じゃんけんで負けて蛍に生まれたの(池田澄子)

・いのししのこども三匹いつもいっしょ(小澤實)

…ユーモアとバカ話とは異なるかもしれない。イギリスの古典的笑い話に「シャギードッグ・ストーリー」というのがある。シャギードッグとはムク犬のことだ。

ペットショップ。男は言った。「ムク犬をくれ」「かしこまりました」男は何匹かを調べて「止めとく」「正真正銘のムク犬ですよ、何がお気に召さないんですか?」「ムクムクすぎる」と男は出ていった。

これで爆笑しないイングランド人はいないそうだ。笑い話は時には踏み絵になる。 村上春樹のサイトQ&Aを集めた本で「中国で「タイタニック」を見たら場内大爆笑」という記事があった。小林信彦のNY滞在記では「殺しのドレス」で大爆笑。何故なら(続く)