人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

『~ローリング・ストーン』後篇

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前回に続いてボブ・ディラン最大のヒット曲'Like A Rolling Stone'(アルバム「追憶のハイウェイ61」'Highway 61 Revisited'1965(写真上)を前後篇、散文訳で圧縮し、ようやく1曲の完訳ができた。実はこれまで小唄ばかり訳してきたのは内容が平易で短いからだ。ディランにはこの曲と並ぶ長尺曲もたんまりあり、当然長い曲ほど内容は複雑。『くよくよするなよ』や『悲しきベイブ』はディランのポップな一面でしかないとわかる。
この曲をめぐっては一冊の考察(グリール・マーカス/2005年・写真下)が出ている。マーティン・スコセッシによるドキュメンタリー「ノー・ディレクション・ホーム」も同年なのは偶然ではなくザ・バンド「ラスト・ワルツ」の時から縁があったのだが、2005年は『ライク・ア・ローリング・ストーン』40周年なのだった。以来この曲は欧米ではロック名曲不動の1位を守っている。歌詞の内容はご質問ください。

『ライク・ア・ローリング・ストーン』後篇
(散文訳)

きみは振り向きもしなかった、道化師や手品師のしかめ面を。やつらがきみを騙そうと近づいてきても事の良し悪しすらわからなかったね。きみはいつもまわりの人間につけこまれてた。きみはいつもピカピカの鞍の馬に乗り、肩にシャム猫をのせた社交家と連れだっていた。つらくはなかったかい、彼は嫌々振る舞ってただけで、やがて盗めるだけのものを盗んでいってしまって-

どんな気分だい?どんな気分だい?住む家もなくして、決めた宿もなくて、誰にも完全に知られない、まるで転がる石みたいでいることは。

ああ、塔の上のお姫さまたちと貴賓たちはこれでよし、と満足して、高価な贈り物を交換しあっている。でもきみはダイアモンドの指輪を外して質屋へいれた方が良さそうだ。きみはいつもボロ服のナポレオンと彼の言葉づかいを面白がっていた。さあ今から行くんだ、彼が呼んでるならイヤとは言えない。もしきみがなにも持っていないなら、失うものもないってことだ。きみはいまや透明で、隠さなきゃならない秘密もない-

どんな気分だい?どんな気分だい?住む家もなくして、決めた宿もなくて、誰にも完全に知られない、まるで転がる石みたいでいることは。
(前記アルバムより)