人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(3)妄想と思考障害

イメージ 1

「お忙しいところ失礼します。『妄想と思考障害』へのコメントありがとうございました。精神疾患と妄想の文献を読み、この記事やリコメを書き、今まで接してきた人たちを思い出すと、しばらくこのテーマを掘り下げたくなりました。そこで今回のリコメから流用させて頂きたくお願いします。相手方を特定できる文面にはしません。ご了解ください」

「部分的に重なる記事が過去にあったかもしれない。これは一昨年の入院の時の話です。入院の楽しみは食事と人間観察くらいですから、1回(3か月)入院すると大学ノート2冊分の日記になりました。
ライター経験から淡々とメモ(これが結構重要。強迫的な人には目の前で文書の作成をしてみせることで安心感を与えられる)をとり、決して反論や疑問を出さない。言いたいだけ話してもらう。そういう心得はあります。発言に誤りや誇張、疑問点があっても言い分を聞き、原稿にする時は流れの中で読者に気づかせる構成にしていました。#さんはご自分の病歴はご自分で書けると思いますけど、他人に洗いざらい話す、というのは効果が違うでしょうね」

「入院するとぼくなど申し訳ないくらい、長期入院患者の人たちはあっちの世界に行きっぱなしです。この話はずっと日記にメモを挟んでいたけれど、最近やっと理解できたように思い、向き合う気になりました。理解というのは理論的解明というのではなく、他人の人格の尊重と尊厳、包容力のことです。
たとえば5年前の今ごろはぼくは刑事被告人として監獄の中にいました。獄中の刑事被告人は命令されるだけの動物です。人格権は存在しません。刑期を終えたその足で強盗殺人を犯す受刑者の気持は獄中経験があれば納得がいきます。人間として扱われないのに慣れた人間を想像してください。ぼくも出所直後は二三人は殺せる気分でした。妄想患者のほとんどが被害妄想なのと似ていますね」

「この人(50歳くらい)はなにかのきっかけから妄想に入って、さらに妄想が妄想を呼んでしまい、たぶん完全な治療は無理でしょう。長期入院患者なのにたまに自宅へ帰ると看護婦もののアダルト・ビデオを借りてくる、しかも自分の病院の看護婦が…というのは完全に論理の反転で、実在の看護婦に似たAV女優だから借りたんですよ。全部そういう具合でしょう。
でもTさんにも人格の尊厳は当然ある。それを考えてみたいのです」