人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(14)サブ・カルチャーと非商業性

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サブ・カルチャーというのはアンチ・コマーシャル(反商業主義)という側面を伴うことが多い。ポップスとは対立するアプローチで表現領域の実験を行えば程度の差こそあれアンチ・コマーシャルな要素は作品に含まれてくる。
今回ご紹介する三組は明確に反商業主義・反主流ロックを打ち出した作品群で、これまで取り上げたフランスやドイツにもここまで実験的な作品は例外的にしか見当たらなかった。感嘆するのは、実験的作品にはつきものの無国籍化(無機化と言ってもいい)がこれらの作品にはないことで、イタリアの風土を感じさせる音楽になっている。必ずしも人気作ではないがそうした味わいがこれらを忘れがたい作品にしている。

「マリオ・スキファノの星」1967(画像1)は画家マリオ・スキファノがアンディ・ウォホール制作のヴェルヴェット・アンダーグラウンドに刺激されて、ミュージシャンを集めて作った自主制作レコード。550枚限定で顧客への贈答用だったという。内容はノイジーなガレージ・パンク。このアルバムは翌年にイギリスでハップサーシュ・アンド・カラード・コートという模倣作を生み、さらにハップサーシュから影響されたドイツのアモン・デュールは「サイケデリックアンダーグラウンド」という大傑作を残した。
また、1967年というとビートルズの「サージェント・ペパーズ」の年でもある。ブラジルの「トロピカリズモ」1968同様ムーヴメントをとらえたアルバムといえるだろう。

画像2の「イントロスペツィオーネ」1974はオパス・アヴァントラの第一作で、現代音楽作曲家とクラシックの女性歌手によるアルバム。一聴複雑でとっつきづらいが、魅力に気づくといつまでも飽きない。長くプレミア廃盤だったので80年代末にインディ・レーベルから日本盤がでた時は反響が大きかった。同レーベルはさらにイタリア最後の秘境、ヤクラに挑む。

魔術師が黒魔術の儀式用にバンドを組んで作った自主制作レコード、それがヤクラの「サバトの宴」1975で、日本国内には数枚しかないといわれてCD化もあり得ないだろうと言われてきた。だがイタリアのインディ・レーベルが魔術師と交渉を取りつけ、日本側で話をつめることになって担当者が恐る恐る寒村の魔術師宅を訪問した。
この時の記事は雑誌でよんだ。ホンモノだったそうだ。