人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(15)イタリアのヘヴィ・ロック-1

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ついにイタリア70年代ロックのいちばん美味しいところに来た。今回・次回で紹介するアルバム群ときたらもう、イタリア人湾港労働者の脇の下(想像)のように強烈に匂う。しかし匂いほど主観的なものはなく、臭いと思うか芳しいと感じるかは愛だけが分ける、と大歌人塚本邦雄も言っている(「茂吉秀歌百首」)。
筆者の初イタリアン・ロックはオザンナの「人生の風景」(紹介済み)だったから、レコードに針を落とすと物々しいイントロに続いてリノが(と呼び捨て)'Il castello dell'es...(砂のお城よ…)'と歌い出すとうわあーっ、とのけぞった。それまで聴いたどんなロックとも違っていた。ユーロ・ロックはフォーカスとカンとクラフトワーク(あとまあスコーピオンズハノイ・ロックス)くらいしか知らなかった。学生時代は映画優先だったから月に1枚くらいしか中古レコードを買えなかったが、オザンナ、PFM、アレア、バンコと少しずつ踏み込んでいった。公平に見てこの4バンドでイタリア70年代ロックは展望できる。図式的にはこうなる。

○PFM=抒情的・都会的・クラシカル
○バンコ=抒情的・攻撃的・クラシカル
○アレア=扇情的・都会的・フォークロア
○オザンナ=攻撃的・土俗的・フォークロア

自分で分類しておいて矛盾を感じる。たとえばバンコはアレアともオザンナとも共通点があり、PFMはバンコとアレアとも共通点があるが、オザンナとPFMはまるでかけ離れている、といった具合に。
PFMは洗練されているのでインパクトはやや弱いかもしれない。が、バンコ「75万年前の愛」やアレア「荒野の盗賊たち」はオザンナの「砂のお城」に匹敵する金縛りナンバーだ。今思いついた。英米ロックで伊70年代ロックにそっくりな音を出していたバンドがある。エアロスミス、初期5作(1973-1977、特に「ロックス」1976)はイタリアのロックと言っても通じる。パワー・バラード系の曲にそれは顕著で、エアロはストーンズ系ではなくツェッペリン系だとわかるが、さらにはイタリア系ロックだったのだ。根拠もある。エアロスミスのメンバーはイタリア移民の子息なのだ。影響関係がないことはエアロのデビュー年でわかる。移民の子息と本国のバンドが同時に偶然同じ音を出していた。
紙幅がない(笑)。今回掲載画像を含めて次回でまとめてやります。