人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

療養日記(11月15日・晴れ)

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これは電気カミソリのヘッドを分解クリーニングして乾燥させているところだ。ドイツ製の3ヘッド、10段階切り換えで、もう20年来使っているが、丈夫なものだ。プレゼントしてくれたのは当時ほぼ同居していた恋人で、20万円近い(!)請求書は結局ぼくが払った。彼女にねだられて買い与えた服やアクセサリーは、家賃の立て替えも含めると累計数百万に上るだろう。やがてほとんど楽しみがなくなり、もはや恋人ではなくなり、自然消滅のように別れた。後悔はなかったが、ひどい孤独感に襲われた。ぼくは女性の友人に友だち紹介してくれ、と電話しまくり、それで知りあった女性と半年後に結婚し、6年前に離婚した-その間もずっとこの電気カミソリは手元にあった。

前回、分解掃除した時からだいぶ経つ。精密部品の手入れは面倒だから夏の間は放っておいた(夏は入浴回数が多かったからT字カミソリで剃っていた)。3か月分くらい剃りカスが溜まっているだろうか?なにしろオランダと言えばスケベニンゲン、ドイツと言えばゾーリンゲン!というくらいで、まあうちのはフィリップスだが、皮脂まで深剃りする電気カミソリなのだ。あなどれない。
分解すると、案の定ヒゲの粉末が皮脂と混ざってグリース状になっていた。3ヘッドのそれぞれが独立可動式で、それぞれに回転するノコギリ状の刃がついているが、まずヘッドと刃の間がべったりしている上にヘッドと本体ヘッドもすっかり癒着している。ヘッドと刃をスプリングで支え刃を回転させるためのギアもヒゲの粉末と皮脂でまみれている。
とりあえず床にティッシュ・ペーパーを広げて分解する。細かい所ほど汚れが粘土状に詰っている。特にノコギリ状の刃の目はすっかり詰ってしまっている。爪楊枝と掃除用クロスで大まかには落としたが、全体のべとつきは落ちない。

たらいに水を張って、食器用洗剤を入れて一式を浸す。しばらく待ってナイロンたわしでひとつひとつ汚れをこすり落とす。水が薄茶色になった。大したものだ。-全然関係ないが、ぼくは20代まで頭痛持ちだった。胃潰瘍にもなった。頭の中や胃を、食器でも洗うように洗えたら、と思ったものだった。
午前中チャイムが鳴ったが出なかった。後でポストを見ると市の医療証の書留だった。「書留です」と声をかけてくれれば出たのに。再配達待ちだから昼寝も出来やしない。