人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

健康と悪夢

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いきなり掛かり付けの歯科の衛生士ツカモトさんにご登場願った。写真撮影もブログ掲載も一応了解済みだからいいだろう。制服の色は五色あるそうだが、その日はピンクだったので「子どもが喜ぶでしょう。プリキュアだったらセンターですね」「ええ、私もずっと見てます。初代がいちばん好きですね」それで撮影させてもらった。他の四色を着ている姿も揃えたいのだが、残念ながらぼくが行く日はいつもピンクだ。マスクを外してもらえばよかったな。そしたらブログNGになったか?たぶんOKだったろう。細かいことは気にしない人と見た。若い女性はその方がいい。

ツカモトさんは20代前半だろうから、プリキュアの初代は中学生だろう。ぼくは保育園児の女児ふたりの父親だった。次女が産まれて妻の育児休暇が明けるとまもなくぼくは仕事の依頼をほとんど受けられず、そのうちまったく依頼のこないフリーライターになってしまうのだが(そして精神状態はどんどん悪化していったが)、長女も次女も今ではプリキュアの初期シリーズを見ていた頃のツカモトさんと同じくらいの年頃になっている。離婚からそろそろ満六年たつ。その間一度も会っていないし写真も送ってくれず、電話で会話したのも次女だけだ。

いまチャイムが鳴ったので中断した。拘置所を出所してひとり暮らしを始めてから二年ほどは部屋に他人がいる幻覚があり、突然の訪問者にはパニック発作を起こしていたものだ。パニック発作が起こらなくなった時期は、次女が電話で会話してくれるようになった時期と一致している。
外で人から声をかけられると今でも立ちすくんでしまうが、数日前ちょうど歯科の前で若い女性から「こんにちは!」と呼びかけられたのは嬉しかった。制服ですぐに誰か見分けがついたので慌てずに済んだ(私服だったらわからなかっただろう)。宅配便の女性ドライヴァーで、数回うちに来たことがある人だ。健康を絵に描いたような人で、こういう人に顔を覚えられてあいさつされるのは気分がいい。
さっきの訪問者はエホヴァの証人だった。

春の訪れは嬉しいが療養生活者には新年度は軽鬱で、早朝は眠りが浅くなり繰り返し娘たちや亡き父の夢を見る。ストレスが頭皮に出てかゆみを覚える。娘たちも父もあまりに遠くて現実感がないから、悪夢と感じない。起きている時間の方が終りのない悪夢のようなものだ。