人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補4e)ビル・エヴァンス(p)

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Bill Evans(1929-1980,piano)。
Waltz For Debby(画像1)61.6.25
-は「サンディ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」と対をなすジャズ・クラブでのライヴ録音で、スコット・ラファロ(ベース)、ポール・モチアン(ドラムス)とのトリオの最後の作品になった。先に発表された「サンディ~」はラファロ追悼盤の性格が強く選曲もラファロのオリジナル2曲'Gloria's Step','Jade Vision'の他、原曲を徹底的に解体した'All Of You','Alice In Wonderland'などベースがギター並みに動きまわる。「ワルツ・フォー・デビー」はタイトル曲の決定的ヴァージョンを始め'My Foolish Heart','Detour Ahead','My Romance'などこちらも斬新な解釈による名演の連続で「エリック・ドルフィー・アット・ファイヴ・スポット」「コルトレーン・ライヴ・アット・ザ・ヴィレッジ・ヴァンガード」と並ぶモダン・ジャズの傑作ライヴ盤といえる。それどころか「ワルツ・フォー・デビー」ほどポピュラリティを獲得したジャズのアルバムは少ないだろう。きわめて高度でありながら幅広い聴き手に愛される力が
この音楽にはある。
ただし客はまともに音楽を聴いておらず、「だったら勝手にやろう」とエヴァンスは言ったそうだ。ライヴ録音したくらいだからグランド・ピアノのはずだが、アップライトのように音の伸びがなく調律も悪い。やる気をなくす悪条件をねじふせるように生まれた名演だった。

11日後にラファロ事故死、エヴァンスはセッション活動で食いつなぐが家賃滞納で路頭に迷う寸前になる。見るに見かねたリヴァーサイド社が発売予定もないのに録音させたのが、
Easy To Love(画像2)62.4.10
-で、エヴァンス急死の翌年に第1作・第2作の未発表録音と抱き合わせで発表された。救済目的だから当然ソロ・ピアノで、やる気もアイディアもなく10分37秒を弾き続ける'Danny Boy'がすごい。

友人のギタリストとのデュオ・アルバム、
Bill Evans & Jim Hall:Undercurrent(画像3)62.4.24&5.14
-でようやくエヴァンスは復調する。解説は次回に譲る。