人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

愛読書ベスト10・その1(古典編)

イメージ 1

ぼくでも土日は、少しは贅沢な食事がしたい。チキン・ソテーを焼き、目玉焼きも添えた-焼きすぎだが、ぼくは生玉子はもちろん半熟や温泉玉子も食べられない。娘たちの育児で好き嫌いはほとんど克服したが(梅干しとか)半熟玉子だけは駄目だった。

さて、先日からのCDに続き蔵書も整頓を進めて、訪問看護のアベさんに感心された。アベさんはマンガだけでも1000冊あり、クリアケースに整理しているが「半日かかりました。佐伯さんは何冊くらいあるんでしょうね?」
「冊数はわかりませんが…本棚に出ているのが段ボール10箱分、段ボールに詰めてあるのがあと20箱くらいでしょうか。これでも10箱は売ったんですよ」

それで今は自分なりに分類し、いつでも出せるように並べ直しているのだが、長編小説のみに絞り日本代表では夏目漱石「明暗」1916とすると、
1.トマス・マン「魔の山」1924
2.フョードル・ドストエフスキー「悪霊」1872
が同率一位だ。どちらも10代に読んでまるで面白くなかったが、社会人になった20代半ばに再読し作者の悪魔的構想に圧倒された。
3.ヘンリー・フィールディング「トム・ジョウンズ」1749
これは最高に楽しい。文庫4巻で登場人物200人を越えるが、巧智な話術ですんなり読めるのだ。
4.スタンダール赤と黒」1830
中学生の時に初めて読んだ「純文学」。これを読んだ一日で一生を生きてしまったような気がした。
5.エミリ・ブロンテ「嵐が丘」1847
なぜこんな凄まじい小説を平凡な田舎暮しの29歳の独身女性が書けたのか、文学史上の奇蹟だろう。
6.ハーマン・メルヴィル「白鯨」1851
奇蹟がもうひとつ。こちらは普通の意味では小説ですらない。しかも作者にはその自覚がない。
7.ギュスターヴ・フロベールボヴァリー夫人」1857
小説に初めて自覚的な方法論を導入した作者の画期的デビュー作。
8.イヴァン・ゴンチャロフオブローモフ」1859
これは明確に帝政ロシアの退廃を描いて哀切な名作になった。
9.トマス・ハーディ「日陰者ヂュード」1895
10.ヘンリー・ジェイムズ「黄金の盃」1904
ともに19世紀末の英米を代表する巨匠の、最後にして究極の作品。
これが表ベストなら、裏ベストもある。むしろそっちが本音なので、続きはいずれまた。