人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

(補11b)ラリー・ヤング(org)

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Larry Young(1940-1978,organ)。
契約アーティストの骨までしゃぶるプレスティッジ社だがそれは50年代までで、60年代のジャズ不況でヤングは第3作までに1年半のブランクが空いた。
Groove Street(画像1)62.2.27
-は、トリオにビル・レズリーのテナーサックスを加え、全5曲中3曲がヤングのオリジナル。もっともこのアルバムも従来のソウル・ジャズ路線にあるが、ついにアルバム最終曲'Talkin' About J.C.'で変型ブルースのモード曲を生み出す。これはジョン・コルトレーンへの賛歌だが、このメンバーでは、普通のフォー・ビートのマイナー・ブルースとして演奏された。以後2年半ヤングは潜伏する。

ヤングはブルーノート社に見出されて専属アーティストになる。最初はサイドマン参加作だが、
Grant Green:Talkin' About!(画像2)64.9.11
-は実質的にヤングのリーダー作といえる作品になった。タイトルもヤングの再演「トーキン・アバウト・J.C.」から採られており、ギターのグリーン、コルトレーン・カルテットのエルヴィン・ジョーンズのトリオでまさにヤングが意図していた通りのポリリズム・ビートによるモード曲としてコルトレーンへのオマージュとなっている。年齢も実績も格下相手に本気を出したエルヴィンは偉い。タイトル曲が突出しているが全体も水準が高く、編曲の主導権をヤングに任せてグリーン中期の代表作になった一枚だろう。

早くも次はヤングのブルーノート社からのリーダー作第1作になった。
Into Somethin'(画像3)64.11.12
-はグリーン、エルヴィンとのトリオにテナーサックスのサム・リヴァースを加えたカルテット。テナー+オルガン・トリオで全然ソウル・ジャズではないアルバムはラリー・ヤングにしかない。リヴァースではそうなるはずがない。「トーキン・アバウト!」は全5曲中3曲スタンダードだったが、今回は全曲オリジナル(4曲ヤング、1曲グリーン)。ブルースの'Tyrone'もエルヴィン得意のワルツ、グリーンの'Plaza De Tros'もサンバ。名曲'Ritha'は採用テイクはテナー抜きトリオだが、輸入盤CD追加のテナー入りテイクも捨てがたいのでそちらをおすすめする。