人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

アル中病棟入院記114

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・3月30日(火)曇りのち晴れ
「感想を急しておいて、全員なあんだという表情。Uzさんからも譲られ、結局三人分のキウイが小皿の上に盛られる。こんなに酸っぱいキウイならデザートにせず主食の前に食べてしまおう、三人分もあるし、と次々と食べる。なんだか感想を求められている雰囲気になり、これは普通、甘くて柔かい!これは当り…今度は固くて酸っぱい、といちいち述べる。なんだか実にアホらしいが、キウイをもらった恩返しだから仕方ない。もっともここまで義理がたくキウイの食感報告しなくてもいいのだが、しげしげ見られながら食べていて何も言わないわけにはいかない。机を寄せて食べた小学校の学校給食のような気分だ」

「向かいのUzさんともどもこのテーブルにかぎらず病棟ではいちばん食事が遅く(だが彼女は摂食障害で苦心しながら食べているから一緒にしてはいけない)Uzさんがため息をつきながら食べているのをTkさんががんばって、佐伯さんが一緒に合わせて食べてくれてるから急がなくていいのよ、佐伯さん優しいね、と言ったりしてくれているが実際は単に本当に遅いだけだったりする。以前そう言ったが照れ隠しだと思われたから黙って聞き流す。クリスチャンの家庭に生まれ育ったので食事は主に感謝しながら家族で談笑し時間をかけて食べる、というのが第二の本能なのだ」

「そんなことを話しても変り者と思われるだけだし、クリスチャンとは感覚的には国内亡命者みたいなものだ。精神病棟では誰もがほとんど一言もしゃべらず一心に食べている。その方がよほど異様に見える。せめてBGMでも、と思う。Kくんが隣にいるのでこのテーブルは例外的に食事中に軽口が飛びかう。しゃべってるから遅いんだよ、とSkさんに下膳の時に嫌味を言われたりもする。ああ、あんたと食事中に会話したい人はいないだろうよ」

「突然ピーピー電子音が鳴り始め、ふと見るとHAが壊れていたはずのウォーキング・マシンに乗っている。故障していたのではなく今まで電池が入っていなかったのだ。ピーピー音がホール中に響く。しばらくしてKwがHAちゃん止めなよ、まだ食べてる人いるよ。でも止め方わかんない。Fさんがスイッチを止めに行く。Kくんが(Kwを)時々ネジが締まるんだな、いつもは百本くらい飛んでるくせに。だがHAに頼まれ電池を入れたのは本人だっただけだろう」(続く)