人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(33)

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ホッピーで乾杯というのも間が抜けておるが仕方があるまい。しかしジョッキとはすまんな。容器自体に重みがあるから利き腕で持たんとつらかろう。
それはあっしも気づきませんでした。でも瓶のホッピーなぞありますかね?だいたいホッピー自体、他人が飲むのを見たことはあるが自分じゃまず飲みませんですからね。
私もだ。ひょっとしたら私はこれが記念すべき初ホッピーかもしれんぞ。
記念するようなことかはわかりませんが、たぶんあっしもそうです。手下どもにどさくさ紛れに飲まされていたら別ですが。
おたがい初ホッピーか。法を表と裏から支えるわれわれがそんなケチくさいことで一致するとは、実に景気の悪い話だな。なんだか大事なものを失ったような気がしないか?
いやあ、あっしは物盗り専門なんで、失うものは命しかないです。でも物盗りの立場としても、近ごろの景気の悪さはねえ。税率を上げて吸い上げた金も景気を上げるどころか、世間をケチにしているだけじゃないですか。
それにはわれわれも困っていてね、なにしろ経済政策と言っても、過去には独自のシステムがあってなんとか維持してきたからこそ現在のこのコミューンもあるのだが、今やわれわれは先進国のシステムを模倣するしかなく、その先進国さえもことごとく破綻をきたしておる。ではわれわれが自給自足だった頃のシステムを取り戻せるかといえば、後戻りはとうてい無理なほどコミューンの性格は変質している。だからきみたちプロの知恵を借りたいわけだ。
そうですねえ、これも先進国の手口ですが、司法の活気のために犯罪の再生産を促進する手がありますね。まず刑期を短くして再犯率を高めます。
いいな、それから?
禁止条例を増やし、一般市民を手頃な程度の軽犯罪者にして検挙数を上げます。密売品なら売人をはびこらせて売人との連携で違法物所持の現場を押さえます。ホテルの一室や路上駐車なんかがいいですな。つまりは、もっとプロを活用してくださいよ。職業犯罪者は泳がせておき市民を誘導してガンガン検挙する、その辺はまだ先進国から学ぶ余地はありますよ。
うむ、きみもさすが裏の世界の親分だけあるな。
たとえば今、外食禁止条例を出せばこの店の客は一網打尽ですぜ。
いや、とヘムル署長は苦笑しました。その条例は一度施行され、廃されたことがあるんだ。スティンキーくんが来る前だがな。知りたいかね?