人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

偽ムーミン谷のレストラン(48)

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 ん?もう一度言ってくれないか、とスノークは言いました。どうもお前はお嬢さんぶって話すから聞き取りづらい時が多いな。本当のお嬢さまは威圧的なほど明晰に話すぞ。だからといって威圧的に話せとはいわないが。
 トイレに行ってくる、とムーミンパパ。あら、あなた早いわね。うむ、なにしろ黒ビールなど久しぶりだからな。気をつけて行ってらしてね。あのなあ、トイレに行くだけなのだぞ。
 あら、ミイがいないわ、とミムラねえさん。みんなどこに行ったか知らない?知ーらない。困ったわね。
 ご一緒してもいいかね、とヘムル署長。私はかまわんよ、あなたとヘムレンさんは本家分家だし、私とあなたは官吏仲間だがスティンキーくんは窮屈じゃないかね?あたしなんぞは光栄のいたりです。では合席も狭いからウェイターを呼んでテーブルを寄せようか。
 トゥーティッキはモランが苦手でしたがモランはフィリフヨンカを警戒し、フィリフヨンカはトゥーティッキに劣等感をいだいていました。女性の三人組はなんとなく一人対二人の構図になりがちですが、人間の価値観でトロールを見てはいけません。
 あら、もう済ませたの?いや、こんなものが入っていたのだ。ムーミンパパはシルクハットを裏返してみせました。な、私は寝る時以外脱がないのに、どうして入り込んだのだろう?とにかくこれでは男子トイレに入れん。そいつを帰しておいてくれ。
 スニフはもうそろそろつらくなっていました。こうしているあいだも道には小銭やビール瓶の蓋がキラキラしているにちがいない。でも今ここにいる人と、
・いない人
 がムーミン谷の全員だし、食事を終えた組が出ていかないかぎり誰もそれらを拾えないはずだ。
 トスフランはまだかなビフスラン、と仲良く料理の到着を待っていました。
 おお、来たぞウェイター、ヘムル署長とわれわれのテーブルを合わせてくれ。できますが、よろしいのでしすか?われわれ四人はそうしたいが、何か問題でもあるのかね?合わせるとのかたちになりますが。
 お探しじゃない?すいません、とミムラムーミンママからシルクハットを受け取ってぶんぶん振り回しました。参った、降参、と目を回したミイが落ちてきました。あんた、どうやって入ったの?
そして小用から戻ったムーミンパパの頭にはアホ毛が三本生えていました。(偽)ムーミンは内心の動揺を必死で抑えていました。