人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

人骨出汁ラーメン屋の夏

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あいかわらず店内の様子は遮光ガラスでまったくわからないこの中華料理店なのだが(画像1.)、最近ショーケースが新しくなったのを発見した(画像2.)。それまでは陽射しに色褪せたプラスチックの料理見本だったのだが(画像4.)かえって不味そうなのにようやく気づいたらしい。しかしプラスチック見本を新調すると高くつくのでたぶん自家製でデジカメプリントして写真でショーケースを飾ったのだ。やはり諜報活動も近年では予算が削減される一方なのだろう。
そして道を挟むヤキトリ屋こーちゃん(画像3.)だが、この店はもともと夕方四時~晩九時にしか営業しない上にたまたま通りかかっても臨時休業が多く、明らかに中華料理店は隠れ蓑にすぎず(客足がない)正体は何かしらのエージェントと思われる正興軒と、あからさまに定年後のじじいの趣味の店であるこーちゃんが道を挟んでどういう関係にあるかは疑問で、これまで幾度となくこーちゃんのじじいの行方は正興軒の大鍋の中かと推察されてきたのだが、そのたびこーちゃんはいつのまにか営業再開しているのだった。
だが画像3.と画像5.のこーちゃんを見比べていただきたい。画像5.は今年年頭の大雪の時のものだが、本日撮影の画像3.を見ると、電飾入りの看板が失くなっているのに気づく。いつから失くなっていたのかわからないが、これはついにこーちゃんお店を畳んでしまった可能性が高い。お客さんなら、むしろこーちゃんは(営業していれば)かならず満席、といってもカウンター五席、テーブル二席しかない物置小屋みたいな店だが、それでもお客は入っていたのだ。それに対して正興軒は…。
夏なのだから冷やし中華の看板くらい出ていても良さそうだが、この店は相変わらず中華粥の貼り紙とサンマー麺ののぼりという、代わり映えしないメニューで勝負をかけている。積極的に「客のこない店」を目指している様子ですらあるのだ。だが正興軒の右隣には工務店の看板を掲げたただの民家があり、ベランダに洗濯物がはためいている。また左隣にはどう見ても場末のスナックにしか見えない扉にも壁にも窓のない建物があり、こちらは美容院の看板がかかっている。案外、この一帯の店はすべて商売が目的なのではないのかもしれない。消えてなくなったこーちゃんの看板はその証かもしれない。