人生は野菜スープ~usamimi hawkrose diary

元雑誌フリーライター。勝手気儘に音楽、映画、現代詩、自炊などについて書いています。

友川カズキ - 中原中也作品集 (P.S.F.Records, 2006)

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友川カズキ - 中原中也作品集 (P.S.F.Records, 2006) Full Album : http://youtu.be/-0kwhmV9ztA
Released by P.S.F.Records TOMOKAWA-6, 2006
Lyrics by 中原中也
Vocal, Guitar, Music & Album Jacket Artwork by 友川カズキ
(Tracklist)
1. サーカス
2. 夏の日の歌
3. 桑名の駅
4. 帰郷
5. 春の日の夕暮
6. 六月の雨
7. 汚れっちまった悲しみに
8. 臨終
9. 坊や
10. 湖上

秋田県出身(1950-)のフォークシンガー、友川かずき(2004年からカズキと表記改名)は1971年の全日本フォーク・ジャンボリーに飛び入り出演して活動を開始し、同年にはNHKの1時間番組のセミ・ドキュメンタリー・ドラマで主演の一人に起用されましたが、レコード・デビューは'74年にシングル2枚と遅く、翌年ようやくアルバム・デビューを果たしました。それから1981年までにメジャー・レーベルから7枚のアルバムを発表しています。

1. やっと一枚目 (ハーヴェスト・レコード、'75)
2. 肉声 (ハーヴェスト・レコード、'76)
3. 千羽鶴を口に咬えた日々 (ハーヴェスト・レコード、'77)
4. 俺の裡で鳴り止まない詩-中原中也作品集 (ベルウッド・レコード、'78)
5. 犬/友川かずき秋田コンサートライブ (ベルウッド・レコード、'79)
6. 桜の国の散る中を (キングレコード、'80)
7. 海静か、魂は病み (キングレコード、'81)

友川は商業ベースのフォークとは無縁の存在だったので、近年まで臨時雇用の土木作業員で生計を立てる傍ら音楽活動を続けました。'80年代にはインディー・レーベルから『無残の美』 (サウンド・ワールド、'86)が出たきりでしたが、1993年からはインディーのP.S.F.レコードが頻繁に新作のリリースを行っており、長年の競輪趣味が高じて競輪評論家、また画家としても知られるようになりました。酒豪としても知られ、自家製の漬け物とボトルを携えて泥酔しながら行うライヴには賛否両論あり(スタジオ録音でも同様といわれます)、NHK-BSのフォーク実況番組でも酔って現れ放送禁止用語を連発していましたから致し方ないのでしょう。「飲まなきゃ人前で歌えるか」に反論はできても、氏の場合ベスト・パフォーマンスに不可欠という定評があります。
お聴きいただければすぐ気づきますが、上京から長いにもかかわらず強い方言が抜けていません。本作は中原中也の詩が歌詞なので比較的聴きとりが容易ですが、作詞も含めた完全な自作曲では聴きとれない歌い回しも多く、しかも一般的な秋田弁ではなく秋田と青森のわずかな境の地域でしか使われない特殊なイントネーションで歌われています(秋田出身の方のご教示による)。強い喉から歌われる強烈に歪んだイントネーションは歌に魔力を呼びこんでおり、商業的成功とはまったく無縁ながら日本のフォークの生んだ土着的フォーク屈指のシンガーとして尊敬を集めています。
2006年のアルバム『中原中也作品集』は'78年のアルバム『俺の裡で鳴り止まない詩-中原中也作品集』(ベルウッド)の再演アルバムです。友川は歌詞・作曲ともに自作自演のシンガー・ソングライターですが、高校時代に中原中也の詩に出会ったのが作詞をするようになったきっかけでもあり、享年30歳の中原中也の詩を歌うにはベルウッド盤当時28歳の友川には良いタイミングでした。ベルウッド盤は寺山修司の劇団「天井桟敷」の座付音楽家J・A・シーザーをアレンジャーにエレクトリック編成のロック・アレンジをバックにしたアルバムでした。曲順は異なりますが曲目は同じです。初期4作からのベスト選曲を最高のパフォーマンスで送ったライヴ盤『犬/友川かずき秋田コンサートライブ』とともに、70年代最強シンガーの傑作です。こちらはデータしかご紹介できませんが、アコースティックな2006年版『中原中也作品集』をお気に召されたら、こちらのアルバムもぜひお聴きになる機会がありますように。
友川かずき - 俺の裡で鳴り止まない詩-中原中也作品集 (キング/ベルウッド, 1978)

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Released by キングレコード株式会社 ベルウッド SKS-1014, August 15, 1978
(Side A)
A1. サーカス - 3:51
A2. 臨終 - 3:44
A3. 湖上 - 3:01
A4. 帰郷 - 3:00
A5. 桑名の駅 - 2:57
(Side B)
B1. 夏の日の歌 - 2:21
B2. 汚れつちまった悲しみに - 3:00
B3. 春の日の夕暮れ - 4:20
B4. 六月の雨 - 3:30
B5. 坊や - 4:53